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たてヨコラム

たてヨコメンバーによるフリーテーマのコラム

デザインビジネス

アナロジー思考で問題解決力とクリエイティブな説明力を鍛える

仕事柄さまざまなWebサイトを制作させていただくのですが、Webサイトは「作ることが目的」ではなく、「受注へのお問い合わせを増やしたい」「より会社の事を理解した採用応募につなげたい」といった、何かしらの課題解決の手段として制作することがほとんどです。

今回は、課題解決力やアイデア発想、さらに学びや説明力向上にも使える「アナロジー思考」をピックアップし、理解促進への活用法を例とともにご紹介します。

「アナロジー」とは?

類推(るいすい)は類比(るいひ)、アナロジー(Analogy)ともいい、特定の事物に基づく情報を、他の特定の事物へ、それらの間の何らかの類似に基づいて適用する認知過程である。(類推@Wikipedia

「アナロジー思考」とは?

上記のアナロジーを用いた思考法。
アイデアを出したり物事を深く理解したいときに、相手や自分が知っている他の物事を引き合いに出して考える方法です。

アナロジーを使って理解を促す

アナロジー思考は専門用語や概念を説明する時にとても役立ちます。
特にB2B(Business to Business)の場合、私自身の領域は「Webを活用したビジネス課題の解決」といった抽象的な業務領域となりますが、クライアントから見るとカタカナ用語が行き交う専門領域であり、業界用語をそのまま並べると「難しいことを難しいまま、わかりにくいまま早口でまくしたてる面倒くさい人」に陥ってしまいます。

逆に、私自身が「クライアントのビジネス課題の解決策を考える」ための第1ステップとして、クライアントのビジネスについて理解し、自分の言葉で説明できる事が大切になります。

そういった時にアナロジー的に考え、類似する事象と結びつけ「これってつまりこういう事」とつなげることで相互理解につなげることができます。

2つの共通項を結びつけ、納得感のある独自解釈を生み出す

上記の「理解を促す」具体的な方法として、アナロジー思考を使って全く違うものの類似性を見出し、一見「どういうこと?」と思わせながら納得感のある解釈を生み出すこともできます。

たとえば、私は以前より「古典落語とオーケストラの本質は似ている」と思っていて、この解釈もアナロジー的な思考によるものといえます。(注:この2つに関して造詣が深いわけでなく、詳しいからから見るとツッコミどころ満載かと思いますがご容赦ください)

古典落語は主に江戸時代に生まれた「噺(はなし)」が脈々と受け継がれてきたもので、同じ噺でも演者によって全く違った表現になります。抑揚の付け方、仕草、声質といった表面に出る所もありますが、最も重要なのは「演者が噺をどのように解釈するか」によって大きく変わります。

もう一方、オーケストラは数百年前につくられた楽譜があり、作曲した人物の記録や時代・文化的背景といった歴史を指揮者が徹底的に読み込み、「どう考えたか」「自分はどう考えるか」「どう表現すれば世界観が伝わるか」といった解釈を描き、オーケストラに参加する演奏者の個性や使用する楽器を組み合わせ、ともに1つの作品を作り上げていく。
故に同じ楽譜でも指揮者や演奏者によって出来上がる世界観は大きく変わってきます

古典落語とオーケストラがつながる3つの要素

  • 「噺」や「楽譜」という原作
  • 作られた歴史背景や情景
  • どう解釈し、どう表現するか

このことから、私は「落語とオーケストラって似てるーー!」と解釈しました。さらに別の展開として落語とジャパネットタカタに拡大したのですが、今回はここまでで止めます。
※「落語」はアニメの「昭和元禄落語心中」から、オーケストラは漫画の「のだめカンタービレ」から情報を得たものです。どちらも素敵な作品なので、もしこの投稿を見て興味を持たれた方はぜひご覧ください。作品中の色恋沙汰にキャッキャウフフするもよし。メタ的に捉えながら新しい発見をするもよしです。

AmazonPrime:昭和元禄落語心中
漫画:のだめカンタービレ

「これって〇〇的だよね」の説明力につながる「例え話」「翻訳・意訳力」

説明や話の上手い人は、幅広い知識や語彙力も重要ではありますが、何より話をしながら、相手の表情や反応やその人との関係から「相手が理解できる事」を嗅ぎ取り、咀嚼しやすい言葉で伝える事に長けています。
中でも「別のものに置き換えて話す能力」いわゆる例え話が上手いのですが、それもアナロジー的思考が関わっていると考えられます。

たとえばこのたてヨコ愛媛のWebサイトを置いている「Webサーバ」について、私は「Webサーバって共用と専用って何が違うの?」を説明するとき、よく「ビル」に例えます。例えば以下。

Webサイトを「お店」とするなら、お店を構えるためには当然「お店を構える場所」を確保する必要があります。これが「Webサーバ」にあたるのですが、土地から確保する方法だと時間もコストも膨大になりますよね。
なので、誰かが持っているビルの一部をテナントとして間借りし、入居するのが効率的です。

「ビルのテナント」がいわば「共用」にあたり、「専用」は「ビルまるごと一棟借り」に近いです。

共用の特徴として、同じサーバを利用している別のサイトに大量のアクセスがあると流れ弾的にアクセスが出来なくなることがあります。
これもビルに例えると、別の店舗に大量のお客さんが来て行列をつくることで、自分の店舗への来店がしづらくなる状況と似ています。

「〇〇に例えると‥」は色んなシーンで使える技なので、「自転車」「筋トレ」「車」「ラーメン」「料理」「注文住宅」など、普段の生活で触れそうな物事を要素分解して引き出しにストックしておき、「この人に説明するならコレ!」と出せるように備えておくと良いでしょう。

ただし、あまり趣向性の強いものを用いると「余計わからんわ!」となりかねないので注意が必要です。

ABOUT ME
町田 祐一郎
1980年生まれ 専門学校卒業後、大阪の会社でWebデザイナーとして社会人スタート。 大阪でWebデザイナー、神戸でWebデザイナー、大阪でWebディレクターと関西圏でWeb制作のキャリアを積む。 2012年に愛媛に移住し、同時に株式会社アイムービックに入社。 ディレクターとして自治体、企業のWebサイトの企画設計、リニューアル提案、制作ディレクションに携わっています。 大阪でのマーケティング会社在籍の経験を活かし、マーケティングとWebの知識をバランスよく配合し、生々しい現場のための現実でロジック立てた企画を組み立てるのが好き。 たてヨコ愛媛では、たてヨコ愛媛のWebサイトや松山テイクアウト部のWebサイト制作も担当しています。 愛媛に移住して8年経過して今なお関西弁を使いますが、そんなボケまくったりしません。どっちかというと恥ずかしがり屋の人見知りです。
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