現在1月14日午後7時半。同日午後1時から始まった「たてヨコDAO会議#3~みきゃんNFTお砂踏み~」が終わった直後です。まず最初に、希望したとおりにNFTをゲットできずに終わってしまった参加者の方、本当にごめんなさい。たてヨコDAOディスコード(当面、リアルイベント参加者のみjoinできます)で、引き続きアフターフォローしています。#サポートで声掛けください。
「ごめんなさい」から始まったということは、そういうことです。全然、予定通りにいきませんでした。何度もテストして、かかる時間も計測し、手順も検証を重ねていたんですが。 しかし、悔いてだけいてもしょうがないので、ありえたかもしれない反実仮想の「たてヨコDAO会議#3」を書き残すことで、次の誰かの参考になればと思います。
Web3体感(のはずが)
これが想定されていたタイムテーブルです。
- 暗号資産取引所口座――日本円でBitcoinやETHを売買できるようになります――の開設を申請、免許証で本人確認情報を送付
- 待っている間にメタマスク――仮想通貨やNFTを保管できる暗号資産ウォレット――を作成
- 暗号資産口座の本人確認が完了したら、2段階認証をセットアップしてセキュリティーを強化
- 近所のコンビニまたはネットバンクで、できたばかりの暗号資産取引所口座に日本円を入金
- 入金が反映されたら、日本円でイーサリムアム・ETHを買って、メタマスクに送金
- ブリッジして、イーサリアム・ETHからポリゴン・ETHに変換
- さらにスワップして、ポリゴン・ETHをポリゴン・MATICに変換
¥でも$でもBitcoinでもETHでもダメ。愛媛県が準備している公式みきゃんNFTを買える通貨に換えるのに、まずこれだけの手順を踏みます。 めんどくさいけど、これを経ることでweb3のブロックチェーンやネットワークについて体感的に理解できる(はずでした)。
分散型台帳技術体感(のはずが)
運営側は、イベント直前に愛媛県から配布されたNFTを世界最大のNFTマーケットプレイス「オープンシー」にリスティング(購入できる状態に)しました。17種類×25個=425NFTを準備しており、会場の参加者から入手希望の意思が示されると、各NFTを希望者と1対1でマッチングさせていきます。本来、物理的に4箇所に行かなければ手に入らないNFTを1箇所ですべて入手することができます。ただし複数入手した人は、その一部をオープンシーに自主的・自発的に再リスティングし、2次流通させます。
オンライン参加者には、2次流通の情報が即時に流され、各自が気に入ったNFTを購入していきます。さらにオンライン参加者は、イベントに参加できなかった誰か、県内の人で実証実験中に東京へ行けない誰か、同じく県外の人で県内へ来て入手することができない誰かのために、再々リスティングします。
こうしてn(2、3、4・・・)次流通が起こります。誰から誰へと経たのかは、ブロックチェーン上に記録されていき、改竄することはできず、世界中の誰もが確認できます。 このトレーサビリティーが、そのモノの価値に大きな影響を与えます。これも体感的に理解できる(はずでした)。
交換モデルX体感(のはずが)
ただし、売買するたびに、その記録をチェーン上に記録していくため――だからこそ透明性、検証性、監査性があるわけですが――そのたびにガス代という手数料を取られます。 結構ばかにならない額になる手数料を負担してまで、会場参加者はオンライン参加者のために、オンライン参加者は誰かのために、n次流通を生み出します。ここに「交換モデルX」が立ち現れると考えました。
これ(交換様式D)は、前の三つのように実在するものではない。それは、交換様式BとCとによって抑圧された互酬性の契機を想像的に回復しようとするものである。したがって、それは最初、宗教的な運動としてあらわれる。
出典:柄谷行人著『世界史の構造』(岩波現代文庫)
見知らぬ人と見返りの関係にならずに交換するパターン
「公共の利益」というものを核として、資本主義に縛られない新しい民主主義が誕生するかもしれません
出典:オードリー・タン…影響を受けた柄谷行人の「交換モデルX」
それはNFTのn次流通だけでなく、会場でたまたま隣り合った参加者間で、例えばweb3のリテラシーがある人が困っている人をサポートするような場面が多発し続けた点においても同様です。これが立ち上がるために、今回の運営はあえて学校の教室のような、パノプティコン(一望監視施設)のような、取扱説明書的なスライドを一方的に提示するようなスタイルを取りませんでした(が、限られた時間の中では、近代的な効率的なスタイルも一定程度必要だったなと反省しています)。
さて、この「交換モデルX」が、来たるべき新しい民主主義の1つの形です。
もう1つの新しい民主主義モデルが、Quadratic Voting (2次の投票、QV)です。
QV体感(のはずが)
これはNFTを入手し、n次流通するやりとりをしている裏で走っていたもう1つのプログラムにおいて、実行されるはずでした。タイムテーブルの着色したところです。 暗号資産取引所口座もメタマスクも、たてヨコDAOディスコードも整えられた人は、その待ち時間を使ってAI画伯に呪文を唱えます。複数人の参加者の複数の呪文が重ね合わさり、決して一人の人間ではつくれないナニカが生み出されます。
イベントスタートから1時間ごと、午後1時台に生まれたナニカ、午後2時台に生まれたナニカ、午後3時台に生まれたナニカ、この3つのうちどれか1つを、4箇所17種類のNFTをコンプリートした人に記念として贈ります。その1つを決める投票を2つの方法で実施します。一人一票のいわゆるフツウの投票とQuadratic投票です。
quadraticとは、二次方程式における「二次の」です。通常の一人一票とは違う、基本の考え方さえわかればとてもシンプルかつ合理的です。
選択肢を増やすことで、多様な意見を取り入れ、民主主義を促す投票の仕組み
出典:民主的な投票の仕組みクアドラティックボーティングを使ってみた
QVの詳細はいつかに譲りますが、2つの投票結果に違いが出た場合、後日その背景を考察し、参加者に共有、フィードバックする(はずでした)。単純な多数決よりも、より民意が反映されやすいと言われているQVを体感的に理解できる(はずでした)。
新しい民主主義「たてヨコDAO」体感、のはず
この「交換モデルX」とQVが出現・実現した場で生まれたNFTを贈与するため、運営はオープンシーでミントします。その際、必要となるDiscription(説明文)は以下のように準備されていました。
このNFTは、所有者の愛媛への誠実さと崇高なボランティア精神を証明するものです。愛媛県が実施した実証実験において、4箇所で配布されたすべてのNFTを所有した人に与えられるものです。たてヨコDAO会議#3で、参加者が協力して作成し、民主的な手続きを経て選ばれました。
This NFT is a proof to the owner’s sincerity and noble volunteer spirit toward Ehime.It’s awarded to those who own all the NFTs distributed at the 4 locations in the experiment conducted by Ehime pref. And it was also created collaboratively and selected through democratic processes by the participants in Tateyoko DAO Congress #3.
さまざまな時間的、技術的制約の中で、3つのナニカを巡るQVは行えませんでしたが、しかしAIによってなんとかひとつのナニカを生み出すことはできました。
このスペシャルNFT、今回のイベント申込者数に合わせて40個ミントします。 たてヨコDAOディスコードの中を探せば、今からでもコンプリートを目指すことができます。
反実仮想な「たてヨコDAO会議#3」、少しでも現実にしていただければ。
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