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ドローンと法律のゼツミョーでビミョーな関係

大美です。いつもたてヨコラム管理人として暗躍しております。
いつもありがとうございます。
さて久々にドローンについてのコラムを書こうと思います。というのも、前回ドローンでコラムを書いたのは、2020年6月。あれから3年弱が経ち、ドローンに関する法律がいろいろ、それも大きく変わりました

ということで、今回は、ドローンに関する質疑応答のような感じでドローンにまつわるあれこれをご紹介していきたいと思います。

ドローンって何?

なんとなくイメージしているモノとしては、4つのプロペラで空を飛ぶモノ。TVなどの空撮動画・写真を撮る機械、って感じでしょうか。
2025年には大阪・関西万博で人を運ぶドローンを運用するという話も聞いたことがあると思います。
元々「ドローン」とは、「自律して動く無人機」のこと。なので、自分で状況を考えて命令に従って動くものは、全てドローンです。空飛ぶモノに限らず、地面を走るものも四足歩行するやつもキャタピラついてる芝刈り機みたいなのもドローンなんですが、イメージとしては遠隔操縦で自律航行する飛びモノがドローンという呼び名で定着しましたね。

ちなみにドローンは、空撮用途だけでなく橋や建物、山・土地の測量物資の運搬(数年後には人も!)、ガスタンクや高層ビル、煙突、太陽光発電パネルの破損状況の確認・点検にも使われています。そしてまだまだこれから活用方法はどんどん増えていきます(悲しいことに戦争での利用もされております)。

ドローンってどこで飛ばせるの?

これ、よく聞かれます。航空法や道路交通法、民法、そして条例などによりいろいろと制約があります。
一番重要なのは航空法。なんせ空を飛ぶものですから、飛行機やヘリコプターと同じ航空法を遵守する必要があります。

どこで飛ばせるかは、まずドローン(機体)の重量によって制限されます。機体本体とバッテリーを合わせた重量が100gを超えるかどうかが分岐点
100g以上なら「無人航空機」とされて航空法に該当します。ちなみに100g未満なら「模型航空機」、つまり紙飛行機やゴム動力の飛行機と同じ扱いです。

さて無人航空機に該当する100g以上のドローンをどこで飛ばせるのか?航空法では、『飛ばしてはいけない場所』=飛行禁止空域が指定されています。それは、

https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000041.html

空港周辺
地表から150m以上の上空
人家の密集地域(DIDと呼びます)

これらに加えて道路交通法の遵守、土地所有者の許諾、市町の条例などを検討すると…自由に飛ばせる場所は限られます。海か、山か、川、ぐらいなんです。
ちなみに。航空法が及ばない場所はどこか?というと…屋根と壁に囲まれた場所、つまり体育館や施設などは航空法対象外なので自由に飛ばせます。

なるほど、飛ばしてはいけない場所はわかった、よしドローン買って私も明日から飛ばそう!とお思いの方、ちょっと待ってください!もう一つ、クリアしなくてはいけない法律があるんです。

ドローンを飛ばすために守らなくてはいけない法律って何?

はい、こちらも航空法です。また出ました、航空法。
実は昨年6月に航空法が大きく改正されました。その内容は…「無人航空機を飛ばす操縦者と、機体の登録制度」ができたことです。

https://www.mlit.go.jp/koku/drone/

言うなれば車と同じ。運転をする人=操縦者と、ドローンを国土交通省に登録する必要があります。
操縦者は名前や住所、連絡先の登録はもちろん、ドローンを飛ばす目的、ドローンをどれだけ飛ばしたかの経験などを登録する必要があります(自己申告)。
そして機体登録ですが、メーカー、機種名、シリアル番号などを登録し、その機体専用の登録番号をテプラなどで貼り付ける必要があります(手数料が必要です)。
そしてもう一つ!ドローンの機体には、電波でその機体の識別番号を発信する「リモートID」と呼ばれる機械を装着する必要があります(一部ドローンにはリモートID機能が内蔵されています)。

これ、法律なので、違反すると罰則があり『1年以下の懲役又は50万円以下の罰金』刑となります。

ちなみに、守るべき法律は他にもいろいろあって、

・道路から離発着する場合は…「道路交通法」による「道路使用許可」が必要
 ※ドローン利用で交通の円滑を阻害する場合や、一般交通に著しい影響を及ぼす場合
・私有地の上空を飛ばす場合は…「民法」による「土地所有権の範囲」に該当するため土地の所有者や管理者の許諾が必要
・鉄道・線路上空を飛ばす場合は…「民法」による私有地上空に含まれますので、所有者・管理者の許諾が必要
・神社仏閣・観光地で飛ばす場合は…「民法」による私有地ですので、所有者・管理者の許諾が必要
・公園で飛ばす場合は…「都市公園法」「自然公園法」、また都道府県・市町村の「条例」に基づく
 ※ちなみに松山市と東温市の都市公園はドローン(100g未満含)の飛行は禁止です(要事前申請)
・港で飛ばす場合は…港湾施設の管理が目的の「港湾法」、船舶交通の安全が目的の「港則法」による管理者の許諾が必要
・河川及び河川敷で飛ばす場合は…「河川法」に基づくが、飛行自体を禁止しているわけではありません(要確認)。
 ※松山河川国道事務所によると、河川敷上空での飛行に許可は特に必要なし。ただし、石手川ダム周辺はダム上流500m・下流150mは立ち入り禁止。
・空撮してたら人が大きく写り込んでしまった…「肖像権」「プライバシー侵害」にあたる可能性があるので、総務省のガイドラインと照合
・海外で買ったドローンを使う場合は…「電波法」に基づく技術適合証明(通称:技適マーク)違反の可能性あり
・映像伝送に5.8GHz帯を使っている場合は…アマチュア4級免許取得+開局申請が必要。勝手に使うと「電波法」違反

とまぁ、ドローンには、いろんな法律が絶妙に微妙な感じで関わっております。

法律ってなぜ、どんな風に変わったの?

いやしかし、いろいろめんどくさいことが増えました。これ、ほんの数年の間で変わった法規制なんです。
それはなぜか?というと、無許可で禁止区域でドローンを飛ばしたり、墜落したりなどの事故が多発したため。官邸につっこんだり、空港に飛んでたり、観光地で落ちたりなどなど、一部の不心得者により真面目に行動している人たちがかなり困ってしまう状況になっているわけです。
そして今後、ドローンの管理、操縦者の監督をしっかり行うことで、ドローンを用いた物流などが日本全国で安全に運用できるように…という未来社会を見据えての法改正なのです。

これから社会的にどんなことが実現するの?

これからは、車やバイクで2時間かかる場所への物資(郵便物、医薬品、食糧など)の運搬をドローンを使って15分程度で実現できたり、人が目視するには危険で時間がかかる高層建築物の点検・整備をドローンで半自動的に行ったり、無人ドローンタクシーによる人の送迎だったり、災害発生時の避難状況の確認・誘導・状況把握などが実現すると思われます。もちろん、エンターテイメント的な活用も広がっていくでしょう(MFゴーストのレース中継をドローンが追尾する映像など、めちゃめちゃ楽しみですよねぇ)。

https://www.mlit.go.jp/koku/level4/

つまりは、人口減少社会の未来でも、安全で快適な社会生活がおくれるためのインフラの一つとしてドローンの役割が増え続けると思われます。

ドローンを飛ばすのに免許がいるの?

この質問、よく言われます!結論から言うと、免許なしでも飛ばせます。が、免許制度ができたのは事実なので、一応ご紹介しておきます。

昨年の法改正でドローン操縦の免許制度が始まりました。正式名称は「無人航空機の操縦者技能証明制度(操縦ライセンス制度)」。国家資格です。正確には免許ではなく「技能証明」です。
このライセンス、一等と二等の2種類に分けられていて、一等はざっくり言うと「安全性が承認されたドローンを、人が多数住んでいる上空で、機体が飛んでいる姿を目視できない状態でも安全に飛ばせるライセンス」です。ガチ業務用に遠隔操作で機体を目で見ずに物流などに使うために必要なライセンスです。
二等は一等から「人が多数住んでいる上空」の条件を外したものとなります(ざっくり)。

一等は、今まで実現できていなかった有人地域での目視外飛行(レベル4飛行と言われています)を実現できるようにするためのライセンス。このライセンスを取得すればどんなメリットがあるのか?ですが、実は現在でも、ドローンを飛ばすために国土交通省に申請や許可承認を行っています。それらがライセンスが有効な3年間、不要になります。そしてドローンの登録制度でも説明した操縦者の資格として明示できるので、技術レベルを国が担保してくれるということになるでしょう。つまり、ドローンを使った業務を行なっている会社で仕事をする場合の技術証明にもなり、会社的にも業務を請け負う際の安全性の訴求力向上にもつながると思われます。

しかし!

この免許、かーなーり、難関になりそうでかつ、なかなかお金がかかりそうです(自動車免許のように多数の人間が取得すると言う需要がないためでしょう)。

例えば二等基本の試験をスクールに通わず一発受検するだけでも、受検費用に学科試験8,800円+技能試験20,400円=29,200円が必要です、受かっても落ちても。自動車免許の一発受験とそう変わらない金額かもしれませんが、内容に制限があり限定解除をしていったり、一等にランクアップするともっともっと高くなります!!!!!
確実にライセンスを取得できるようにしたい!という方には自動車教習所同様の指定講習機関での受講・技能訓練を受けることもできますが、こちらも約20万円程度(当然一等はもっともっと)かかりそうです。

しかも!

この受検、まだ始まっていません。それどころか、まだ指定講習機関すら決まっていません。法改正先行でまだまだ実情が追いついていないのが現状です。

さて免許(ライセンス)なしでも飛ばせると冒頭に言いました。どういうこと?なのですが、それは免許制度が始まる前の制度=許可承認制度もまだ運用されています(私も許可承認制度を利用して、全国包括許可承認申請による許諾をいただいております)。
つまり、許可承認制度を利用してドローンの操縦者と機体を登録し法律と安全確保を遵守することで、ライセンスなしでもドローンを飛ばすことは可能なのです。

ドローンにチャレンジしたいんだけど…何がオススメ?

とまぁ、ドローンやろうよ!と気軽に言えない法律関係の状況ではあるのですが、そんなハードルを乗り越えてでもドローンにチャレンジしたいっっ!という未来の可能性にかける皆さま、ありがとうございます。
これですが、ドローンで何をしたいかによります。空撮したいのか、レースがしたいのか、プログラミングの学習に使いたいのか…。

空撮ならば、

DJI社のMINI3AIR2Sがベストチョイスと言えます。なんせ世界シェアトップのDJI社様ですから。でもきちんと国土交通省サイトでドローンの機体登録と操縦者登録など、必要な登録はしてくださいね。

レースならば、

初心者ならばBETAFPVのCETUS FPVかな。ドローンの映像が顔に装着したゴーグルに映し出されるので、ドローンに乗って操縦しているような感じでレースを行うことも可能です。ちなみにレースに使われるFPVドローンは航空法対象外になることが多いですが、映像伝送に遅延が少ない5.8GHz帯の電波を使うことが多いため、アマチュア無線4級の免許と電波局の出願登録が必要ですのでご注意を。


プログラミング学習であれば、

またまた登場DJI社のTELLOですね。屋内でも安定して飛ぶことに加え、ブロックプログラミング言語SCRATCHなどでの制御が可能。プログラムで動き方を考えてその指示通りにドローンを飛ばすという、論理的思考の育成にもつながります。しかも1万円程度とお求めやすい価格!おひとついかがですか、奥さん(誰だよ)。

あと、ちょっと広い会議室とかでドローンを使ってワイワイ遊びたい!なら、

ドローンファイトがオススメです。手のひらサイズのドローンで体当たりして風船を割るゲームです。これがなかなか難しくてしかも面白い!こちらはオールインワンのセットで8,800円!おひとついかがですか、奥さん(だから誰だよ)。
ちなみに昔、ドローンファイトやってみた動画を撮ってたのでご参考にどうぞww

体験してみたい!飛ばしてみたい!んだけど、ODCの活動ってどうなったの?

とまぁ、長々と書きました。前回のコラムから3年弱の間に、かなりドローンに関する法律や状況が変わりました
それでもなかなかドローンに関する理解や周知は広まっていないことに加え、たてヨコのイベントでドローン記念写真を撮ってても、初めてドローン見たと言う人も多いですね。
というわけですので、これからもさまざまなイベントでドローンを持ち込んで記念写真を撮影していくことに加え、ドローン体験会やドローンイベントも展開していきたいと思います!そう、2023年は、ODC(Ohmi Drone Club)再始動の年にします!

というわけで、イベントなどまた企画していきますのでその際はぜひご参加くださいませ。長々と書きまして申し訳ございません。

それではみなさま、ご安全に。

ABOUT ME
大美 和博
カメラ・ドローン・mavic mini・THETA・VR・空撮・おやじの会・衝動買い… 好きなものがありすぎて首が回らない日々を送るオーバー50。 なぜかGoogleストリートビュー公認フォトグラファーだったりするが、実は「酒好きのただのおじさん」。 タウン情報まつやま、四国旅マガジンGajAなどを出版している株式会社エス・ピー・シー勤務だが、出版物にはほとんど関らず、SNS広告配信、アクセス解析、動画撮影、ドローン空撮、VRコンテンツ制作、動画配信業務など、多種多様な業務に巻き込まれ中。
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