タウン情報まつやまでお馴染み、SPCの大美です。全天球カメラや空間音声動画、VRなどなど、デジタルガジェット大好きニンゲンなのですが、現在本業ではECショップの店長をやっています(知らなかった人も多いかも?)。ま、それはそれとして。
様々なガジェットの中で最もお気に入りは…ドローンです。ドローン飛ばして空撮するのが実益を兼ねた趣味なのですが、今日はそんなドローンと法律の関係をご紹介しようと思います。
ドローンって?
さて、ドローン。プロペラが4枚ついてて空を飛ぶモノって認識されてますが、あれは正確には「マルチコプター」と言います。回転する羽が複数あるのでマルチコプター。ちなみにヘリコプターは回転する翼という意味のギリシャ語由来の英語です。
で、羽が3枚のものはトライコプター、4枚はクアッドコプター、6枚のヘキサコプターや8枚のオクタコプターってモノもあります。羽の枚数が増えれば安定性が増すんですね。
じゃ、ドローンって何???なんですが、元々は「自律して動く無人機」全般の意味。自分の体勢や周りの環境を判断して自動で命令された通りに動作するものであれば、空飛ぶものでなくてもドローンなんです。そう、船でも車でも衛星でも。もちろん飛行機でも飛行船でも。
遠隔操縦が可能で自律航行できるものは何でもドローンなんです、そう「はやぶさ2」も広義ではドローンです。っていう、ウンチクでした。
法が変われば呼び名も変わる
さてそんなドローンですが、人によって呼び名や意味が変わっているように、実は法律上でも呼び名が変わってます。
○無人航空機
○模型航空機
○小型無人機
○小型無人飛行機
などなど色々な表記がありますが、これら全てドローンのことです。ちなみに「無人航空機」「模型航空機」は航空法での表記、「小型無人機」は道路交通法での表記、「小型無人飛行機」は松山市公園都市条例などで記載されています。
ちなみに、航空法でいう「無人航空機」「模型航空機」の違いは…重量が200g以上か否か。
機体本体の重量とバッテリーの重量の合計が200g以上なら「無人航空機」、200g未満なら「模型航空機」なんです。
ややこしいでしょ、でも覚えておいてください、ここ重要です。
で?どこで飛ばせるの?飛ばせないの?
よしわかった、ドローンを飛ばすためにはどうすればいい?という方。まず自動車の運転を想像してください。
自動車の運転に関わる法律は何でしょう?道路を走るものなので…そう、「道路交通法」ですね。
では、俗にいうドローンに関わる法律はというと…空を飛ぶモノなので…そう、「航空法」です。飛行機やヘリコプターと同じ法律に、ドローンを飛ばすための決め事が記されています。
○飛行禁止空域=ここでは飛ばしちゃダメ!
・空港周辺
・150m以上の上空
・人家の密集地域(DIDと言います)
あと、飛ばすための方法も決められています。
○飛行方法
・飲酒時の飛行禁止
・飛行前確認
・衝突予防
・危険な飛行禁止
・日中(日の出から日没)での飛行(夜間はNG)
・目視(直接肉眼)の範囲内(建物や山の陰はNG)
・距離の確保(人・建物・車などと30m以上離すこと)
・催し場所での飛行禁止(=イベント会場はNG)
・危険物輸送の禁止(凶器、毒物、火薬などはNG)
・物件投下の禁止(ドローンから物体を落下させるのはNG)
しかし、上記条件内でも安全を確保した上で、所定の手続きを経て国土交通大臣による承認が得られれば飛ばすことができます。
本来は飛行予定の度に飛ばす場所、日時、安全対策、ドローンの機体、操縦者などの情報を申請して許諾を取るのですが、1年間まとめて許諾を取って、3ヶ月毎に飛行実績を報告することで許諾申請を簡便化することができます。これを「包括申請」と言います。全国どこでもドローンを飛ばすことができるように申請して許諾を得ている業者さんで「全国包括申請許諾済み」と言うのは、この申請許諾を得ているって意味です。
全ては安全確保のため。全ては過去に起きた様々な事故(官邸ドローン墜落事件、イベント会場でお菓子バラマキドローン墜落事故など)を繰り返さないためなんです。
詳しくは、
*無人航空機の一般的な飛行ルール(国土交通省)
*無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の安全な飛行に向けて!(国土交通省)
をチェックしてみてください!
なお、上記「航空法」で制限されるドローンというのは「無人航空機」のこと。
さて無人航空機って何?というと…200g以上のドローンと上述しました。つまり、重量が200g未満のドローンは、GPS内蔵でジンバルでキレイな空撮ができて10分以上飛ばせるハイスペックドローン(例:DJI社製 Mavic mini)でも、上記には該当しないんです。
ボーダーラインは200g。ここ重要です。
振り返れば法がある
と、航空法で決められた飛ばせる場所・条件を守れば、どこでも飛ばせる!とはいかないのが世の常。
ドローンが関係する法律は、航空法だけじゃないんです。
もう一つ、「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」(通称:小型無人機等飛行禁止法)により、
皇居、原発施設、大使館、自衛隊施設などの『重要施設及びその周囲おおむね300m周辺地域の上空における小型無人機等の飛行が禁止』されています。この法律では、200gのボーダー関係なく全てのドローンが該当します。
さらにさらに。これだけじゃないんです。まだまだ関わる法律がてんこ盛りなのがドローン、です。
・道路から離発着する場合は…
「道路交通法」による「道路使用許可」が必要
※ドローン利用で交通の円滑を阻害する場合や、一般交通に著しい影響を及ぼす場合
・私有地の上空を飛ばす場合は…
「民法」による「土地所有権の範囲」に該当するため土地の所有者や管理者の許諾が必要
・鉄道・線路上空を飛ばす場合は…
「民法」による私有地上空に含まれますので、所有者・管理者の許諾が必要
・神社仏閣・観光地で飛ばす場合は…
「民法」による私有地ですので、所有者・管理者の許諾が必要
・公園で飛ばす場合は…
「都市公園法」や「自然公園法」、また都道府県・市町村の「条例」に基づく
※ちなみに松山市と東温市の都市公園はドローン(200g未満含)の飛行は禁止です(要事前申請)
・港で飛ばす場合は…
港湾施設の管理が目的の「港湾法」、船舶交通の安全が目的の「港則法」による管理者の許諾が必要
・河川及び河川敷で飛ばす場合は…
「河川法」に基づくが、飛行自体を禁止しているわけではない。
※松山河川国道事務所によると、河川敷上空での飛行に許可は特に必要なし。ただし、石手川ダム周辺はダム上流500m・下流150mは立ち入り禁止。
・空撮してたら人が大きく写り込んでしまった…
「肖像権」「プライバシー侵害」にあたる可能性があるので、総務省のガイドラインと照合
・海外で買ったドローンを使う場合は…
「電波法」に基づく技術適合証明(通称:技適マーク)違反の可能性あり
・映像伝送に5.8GHz帯を使っている場合は…
アマチュア4級免許取得+開局申請が必要。勝手に使うと「電波法」違反
とまぁ、やたらめったら関わる法律が多いです。ふぅ。
どんな法律が関わっているか、詳しくは 5分でわかる!ドローン規制の全体像|すぎな行政書士事務所をチェックしてみてください。
結局どこで飛ばせるの?
結論から言うと…
人口密集地域でなく、空港近くでなく、高度150m以下
かつ、
○河川および河川敷はOK
○体育館・施設など壁と屋根で囲まれた場所ならOK(航空法対象外。施設管理者の許諾は必要)
○所有者の許可が取れれば山・田畑上空OK
○地方自治体が管理している場所はそこに確認・許諾が得られればOK
大まかには、こんな感じです。
ちなみに地図で飛ばしていい場所を確認したい場合は…
*国土地理院 地理院地図をチェックしてみましょう。他にも世界的なドローンメーカー「DJI」社も安全飛行フライトマップを公開しています。
実際に飛ばす場合や空撮の映像が必要な場合は、ドローンで空撮をしているカメラマンさんや映像関係者さん、そして国土交通省の無人航空機ヘルプデスクなどに確認するのが一番確実です。
ドローンをめぐる環境や法律は、日々変更されています。機体番号登録制(法改正審議済、近日施行決定)やドローンを飛ばすための免許制度なども法改正で審議されつつあります。守るべきところ、注意するべきところは多いですが、ドローンの空撮は、新しい映像表現としてとても楽しい世界です。事故なく安全に、法律の下で許された範囲内でドローン空撮にチャレンジしていただければと思います。
それではみなさん、ご安全に。