はじめましての方も、なんとなく知ってるよ!という方も、おなじみの方も。町田祐一郎と申します。読みが少し特殊で「まちだ」ではなく「ちょうだ」と読みます。※「まちだ」と呼ばれてもお返事します。
アイムービックというWebサイトやシステム開発の会社でWebディレクターをしています。
たてヨコラジオというポッドキャスト(インターネットラジオ)もやってるので、ぜひチャンネル登録をお願いします!
今回は、Webサイトに関連するお仕事をする中だけでなく、全てのビジネスパーソンにとって重要だと思っているスキル「編集力」についてまとめてみました!「え、編集って雑誌つくったり映像とか音とか編集すること?Webサイト作るのと一般の仕事とどう関係するの?」と思われるかもしれません。
私の場合、Webサイトを依頼されるお客様だけでなくその先の利用者も含め、様々な利害関係者に伝わるように情報を届ける必要がありますし、皆様も「誰かに何かを伝える」というのは日常的に行っているかと思いますが、そんなとき「編集力」が様々な場面で使える道具になりますので、ぜひお持ち帰りいただきたいなと思います。
もくじ
- Webディレクターの仕事って何?
- それ、どうやって伝えるの?
- 難しい言葉を翻訳し、理解する
- 「編集」は事実情報・伝える相手・アイデアで構成される
- 仏教に通じた
Webディレクターの仕事って何?
さて、皆さんは「Webディレクター」と聞いて、どんな仕事をイメージされるでしょうか。
- Webサイトを作る人
- 進行管理をする人
- 企画提案する人
- インターネットに詳しい人
- 偉そうに椅子に座って指示する人
- カーディガン羽織ってる人
など。色々なイメージあるかと思います。
Googleで「Webディレクター」と入れると、こんな感じのサジェスト(よく検索される追加キーワード)が出てきます。
Webディレクターの業務は会社や仕事の受け方、プロジェクトの入り方によっても変わりますが、概ね以下の内容に関わる事になります。
- ヒアリング・リサーチ
- 企画・見積・提案
- 課題設定・コンテンツ設計
- プロジェクト進行、スケジュール管理
- チェック・クオリティ管理
- 運用・更新
- 分析・改善
詳細は割愛しますが、プロジェクト全体を1つの流れと捉えた時に、スケジュールと予算の中でお仕事を完了させるためにあの手この手を尽くすのがディレクターの役割といえます。
その中で、先述した「その先の利用者も含め様々な利害関係者」の全体像を理解し、情報の流れ(コミュニケーション)をいかにスムーズにするかが鍵になるのですが、その全体像についても理解しておく必要があります。
雑な図にすると以下のようになります。
それ、どうやって伝えるの?
Webサイト制作の仕事でもさまざまな色んな人と関わるのですが、ややこしいのが各ポイントで使う言葉が変わることです。
- 提供先(商品やサービスを利用する人)
- 企業(私から見たお客様)
- 直接のご担当者様
- ご担当者様の上司
- 自分(自分の制作チームの一員ですが)
- 制作チーム
- デザイナー
- フロントエンドエンジニア
- システムエンジニア
- 運用・更新チームメンバー
- 外部パートナー
特に専門職や技術職といった、ある分野においてのスペシャリティを持つ人達は、当然その分野に関する造詣が深く使用する言葉も専門的なものが多いです。
たとえばWeb関連での専門用語でいうと、UI、UX、ワイヤーフレーム、サイトフロー、サイトマップ、カスタマージャーニー、ファイルリスト、ファーストビュー、モバイルファースト、アクセシビリティ、ユーザビリティ、デバッグ、リプレイス、LP、EC、SEO、MEO、CPC、CTR、CVR、CMS、CRMなどなど(Webだけのキーワードではないものもありますがご容赦を)
さらにマーケティング領域にコミットされているビジネスパーソンは、大量のイシューに対し最適なナレッジをピックアップしソリューションをコミットする必要があるため、日々セルフマネジメントにトゥギャザーでアグリーしているかと思います。(マーケティング業界のカタカナ用語をドヤって使うのはお勧めしません)
つい先日もインターネット広告がや4マス合算を越えたニュースが話題になりましたように、Web業界は新しい技術や言葉や概念が次々と湧き出てくる変化が激しい業界です。
コミュニケーション対象が業界の人だけであれば、気にせず専門用語で楽しくお話していれば良いのですが、それだと仕事をする際に私がコミュニケーションする人達と会話が成り立たずエラいことになります。
当たり前に使っているギョーカイ用語をそのまま社外で使ってしまうと「君は何言ってんだ」になったり、最悪「コイツは難しい言葉で煙に巻こうとしている」と思われてしまったりするので、そうならないように相手に合わせて自分の言葉で話せるよう、意味をある程度理解しておく必要があります。
難しいことばを「翻訳」し、理解する
専門用語を平易な言葉で説明する。抽象的な概念を具体的なモノや理解できる事象に例えて説明する。など、難しい言葉や「なんとなく聞いたことがあるけど解釈により意味が異なってしまう言葉」を相手に適切に理解してもらうためには翻訳が必要になります。
翻訳と言っても「直訳」と「意訳」の2つがありますが、特にコミュニケーションで必要な翻訳は意訳になります。例えば、先述したキーワードの「UX」を直訳と意訳してみましょう。
「UX」を直訳
User Experience=ユーザー体験のこと。
まぁ、文字通りなのでなんとなくわかりますね。
ユーザーの体験です。
醤油だけ入れた素うどんみたいにあっさりしすぎて味気ないですね。
では次に意訳してみましょう。
「UX」を意訳
User Experience‥ユーザーが商品やサービスを利用する中での体験を指す。
また、UXデザインは、その体験全体を設計(デザイン)することを指す。
少し補足と展開例が加わったので「UXがどういうものか」の理解が増したかと思いますが、これでもまだよくわからないので、次は自分が理解できる具体的な何かに置き換えてみましょう。
UXをガリガリ君で例える
暑い夏の日。のどが渇いたあなたはアイスコーナーに向かい、ガリガリ君を見つけた。期間限定味と検討したが王道のソーダを購入。すぐに袋を開けて食べた。最高。袋はすぐにコンビニのゴミ箱に。ハズレだった棒はゴミ箱に捨てた。など、商品のタッチポイントから購入と利用にまつわる体験全体を指す。
購入前の認知なども含めてしまうとCX(顧客体験)の話に拡がっていくので省略します。ひとまずガリガリ君を例にUXを意訳してみましたが、いかがでしたでしょうか。
逆によくわからなくなったかもしれません。
とはいえ、難しい言葉を伝えるには、その言葉を直訳的に理解するだけでなく、自分や他者が理解できる言葉に置き換えられるようにしておくと良いかもね、という事はご理解いただけたでしょうか。
「編集」は事実情報・伝える相手・アイデアで構成される
先程は単語レベルの話なので「翻訳」となりますが、仕事ではそれらを統合的に扱う必要があります。その前に、調査・リサーチなども行いながら事実を集めて根拠となる材料を集め、文章・写真・イラスト・図・表・動画・音など、さまざまな道具を駆使し相手に合わせて情報を置き換えたり組み替えたりしながら伝えます。
こういった一連の枠組みが「編集」だなと思ったのです。
ようやく出てきましたね。
編集をプロセス化すると、以下のようになります。
- 事実情報を集め、分解・整理する
- 伝える相手を理解する
- 相手に合わせて情報を選択し、置き換えたり組み替える
「みかんを売る」と仮定し、図にするとこんな感じです。
伝える相手によって、情報の選択や伝え方が大きく変わることがイメージできればGoodです。
この図でいう③が「アイデア」「デザイン」「企画」と呼ばれたりしますが、その良し悪しは「①事実情報」をどれだけ集め、「②伝える相手」をどのように理解・解釈するかにかかっています。
情報をきっちりみっちり集めていたとしても、伝えるべき相手の理解が「30代女性」だとメッセージもぼやけたものになってしまいますし、事実も相手もきちんと理解していたとしても、メッセージや見せ方がダサダサだとフられてしまう‥。逆にメッセージや見せ方は凄いんだけど、ちょっと凄すぎてついていけない‥という恋愛のような奥深さがあります。
仏教に通じた
編集の話をまとめている中で思い出すのは「対機説法(たいきせっぽう)」という仏教用語。
※「待機」ではなく「対機」です。字を間違うと単なる「出たとこ勝負」になります。
「機」とは、人の心の機縁、はたらきを意味し、「根(中国語: 善根)」とは、その人の根本的な性質や性格を意味する。
釈迦仏は、インドで生まれ菩提樹の下で成道してから、さまざまな人に応じて説法をした。しかしそれら衆生の性格や気質はそれぞれ異なる。そのために各人に合わせて教えを種種雑多に説いた。これを対機説法(たいきせっぽう)・臨機応変(りんきおうへん)という。
Wikipedia|機根
ブッダは「人によって理解・性質・価値観ちゃうから、それに合わせて伝え方を工夫したらええんちゃう?」と二千年以上前に説いておられるわけです。今でも使えるぞこれ。
仏教ってすごい。
って何の話でしたっけ。