風の人、土の人という言葉を聞いたことがあるだろうか。
地方創生には、「よそ者、若者、バカ者」が必要だと言われるが、よそ者は「風の人」、地元に暮らす人は「土の人」と言い換えられるようだ。風土は風の人と土の人が合わさってつくられるという理解のようだが、
元信州大学名誉教授である玉井袈裟男氏の、風土舎宣言においてよく表現されている。
土の人になるはずだった私の紹介をさせてほしい(まじめトークで失礼します!)。
東日本大震災の復興における、風の人と土の人の協働
北陸生まれ&育ちの私は、高校を卒業するまで豪雪地の石川で育った。東日本大震災の年に東北の大学に入学。震災復興において学生として、そして、よそ者だからこそできることを模索し、情報発信や教育支援のNPO・ボランティア活動に携わらせてもらった。懸命に前に進もうとする地元の方、全国から集まるボランティアの人たちとの出会いは、よいエネルギーで溢れていたと感じる。時には支援が押し付けになっていることがメディアで報じられることもあったが、外から新しいアイディアやマンパワーが持ち込まれ、地域の自発的な取り組みをエンパワメントする動き、風の人と土の人がともに成長し歩む動きがあった。
そうした取り組みに接して、大学卒業後は、日本の地方と海外をつなぐことで、双方がさらに元気になる関係づくりに関わりたい!と思い、大好きな地元には戻らず、今の仕事に就いた。
北アフリカのモロッコで微風を吹かせたい
東京で社会人経験をある程度積んだ後、2018年の夏に北アフリカのモロッコへ1年間赴任する機会をいただいた。当時、アフリカの中でモロッコは特に日本企業の進出が伸びており、アフリカ初の高速鉄道が国内に開通する等、経済成長を間近に感じた1年だった。
モロッコへの日本企業の進出、輸出をさらに促進するべく、現地市場や経済概況等を調べ、時には関係者にインタビューをして、情報発信をする。限られた時間で風の人として十分な役目を果たせたか自信はないが、日本人というよそ者の視点で現地の経済活動を切り抜き、日本に向けて情報発信できる意義を考えさせられる時間だった。公私ともに土の人には助けられた1年でもあったと思う。ほぼ毎日通った八百屋さんのおじさんは、言葉があまり通じないものの、行く度に笑顔でおまけ(果物)をくれたり、、。ささやかな優しさに本当に励まされた。
よそ者に寛容な愛媛県、素敵な風の人・土の人たちとの出会い
モロッコから帰国後はすぐ愛媛に赴任し、人生初の四国に足を踏み入れた。
2019年に愛媛に来てもうすぐ2年半が経つが、気候も人も比較的穏やかであり、美味しい海と山の幸、美しい自然に恵まれ、過ごしやすい土地だと心から思う。また、愛媛は歴史的にロシア兵を受け入れたり、お遍路文化があったりと、よそ者に対してとても寛容な県だと感じる。愛媛県産品や県内企業の海外展開を促進するべく、日々尽力するのみだが、地元の方々から学ばされることが本当に多い。
風の人と土の人のハーモニー「たてヨコ愛媛」
たてヨコ愛媛は、愛媛に縁がある「風の人」と「土の人」が交じり合い、新しい価値や活動が生み出される場だと感じる。これからもよいシナジーが生まれ続ける場であってほしい。
たてヨコ愛媛に関われたことに感謝したい。そして、自分もいつか風の人を応援できる土の人になりたいと思う。