Column

たてヨコラム

たてヨコメンバーによるフリーテーマのコラム

エッセイ

広げたい「輪」の中の「和」

たてヨコ愛媛の皆さん、はじめまして。

「人をつなぐ、地方をつなぐ、未来へつながる」をモットーに、つながりの連鎖をつくることで地域を活性化したいと2年前一人起業した橘雅子です。たてヨコ愛媛の存在を知ったのは、稲見さんのイベントに参加したことがきっかけで、愛媛人度がかなり低く参加をためらっていたものの、なんだかおもしろそうという気持ちに抗えず参加させていただきました。

自己紹介

私自身は東京出身で現在も東京在住、一般的な「ふるさと」といえるものをもたない人間で多少寂しい気もしますが、これまで16回の引っ越し経験があり、関係した地域をちょっとしたふるさとと考えればいいと思うようになりました。新卒で銀行勤めをしてからアメリカに留学、現地でローカル採用で働いたあと帰国して外資系や日本の会社で勤務して、今に至ります。

人と地域のつながりなど想いを巡らせる中で、社会の中にいくつも存在する「輪」の中の「和」についてアメリカにいたときの経験を思い出して書いてみます。

日本における和とは

日本には「和を以て貴しとなす」「和を乱す」など「和」を重んじる言い方がいくつかあります。ここでいう「和」とは「調和」や「協調性」のことを指します。農耕民族としてスタートした日本では、個々の個性を際立たせるよりも協調性や周囲の空気を読むことを重視し、周りと同じ方向を向いて一丸となり協力していくことで発展してきたのではないでしょうか。

「日本人は協調性があり礼儀正しい」と渡米後よくアメリカ人にも言われましたが、生活するにつれて違和感を抱くようになりました。個人で渡米した私には所属するグループがありませんでした。もう何十年も前の話ですから、今では多少事情が違っているかもしれませんが、○○県出身の方は県人会があり、駐在員の方にはその会社や同業のグループがあります。ここでグループというのは○○会という明確な表示がある場合もあれば、これといった表示はなく、ある属性の「輪」の中に入っている状態というものもあります。部外者が「輪」の中に入り込むことは、「和を乱す」ことのように思われました。

「和」と「輪」の関係性とは?

アメリカで運転免許を取得するために日本人の先生がいる自動車学校に通ったときのことです。先生によると、日本人の「和」は同じグループの中、「輪」の中での「和」だというのです。いったいどういうことなのでしょう。

例えば、高速道路で合流してくる車があるとき、アメリカ人はルールとして交互に譲り合って合流させますが、日本人のドライバーの場合、なかなか合流させようとしない。ところが、合流しようとしてくる車の運転手が自分の知人であることがわかると順番を譲って通してあげるというのです。これは単なる例ですが、先生の話は腑に落ちました。

同じようなことは並んでいる時にも見受けられます。知り合いを見つけたとたん、周りの人にことわることなしに「ここ、大丈夫よ!はいっていらっしゃいよ!」と言って列に横入りさせてあげる人がいます。知り合いの「輪」の中では良い関係性を保つために「和」があるのかもしれません。

アメリカで生活している時、地下鉄の中で知らない人に「その靴かわいい。どこで買ったの?」と話しかけられることがありました。「○○で買ったのよ。」「素敵ね。」去り際にお互い「良い一日を過ごしてね!」と言って別れます。

バス停でバスを待っていると、隣に並んでいる人が「何でこんなに遅れているのか知ってる?」あるいは通りがかりの人が「どれくらい待ってるの?」と気軽に聞いてきます。そしてお互いに「遅いねぇ」「事故があったらしいよ」などと会話しながら遅延に対する感情を共有するのでした。

帰国して・・・

日本に帰国して数か月、私は同じような感覚で、朝の通勤電車がアナウンスなしで遅延している時、隣に並んでいる人に「どうしたんでしょうね」と話しかけていました。今でも覚えていることを考えると相当ショックだったと思うのですが、舌打ちして無視されたのです。そこで、自動車学校の先生が話していた日本の「輪」の中の「和」を思い出しました。

「輪」の中で「和」が機能するということは、逆に言えば「輪」の外の人に対しては「和」を気にしないということです。私もそれ以降は特に「輪」を意識するようになりました。

最近はインターネットやスマホの普及で一人で完結できることが増えてきているせいか、関係性が希薄になっているような気がします。テレワークの普及もあり、「輪」の大きさも以前より小さくなっているのではないでしょうか。一方で、コロナ禍でリアルに会って話ができることの有難さを実感し、人がつながる関係、コミュニティが以前より求められているような気もします。

「輪」の中を大切にすることができるのであれば、その「輪」を小さな「輪」から大きい「輪」に、あるいは形がいびつで端が少し開いているオープンな「輪」にしていくことで、人と人との関係性が広がり、よりオープンなコミュニティが形成されていくのではないかと思うのです。

最後に

たてヨコ愛媛は私のように愛媛人度が低く、FBを見ているだけの人でも居心地よく過ごせるコミュニティです。きっとコミュニティの「輪」がゆるくてかなり大きいのだと思います。

なんだかおもしろそう、楽しそう、これなら参加できそう。。。

今回コラムの投稿にチャレンジして、見てるだけの人から一歩前進です。コロナも落ち着いてきたことでもあり、また別の機会にたてヨコ愛媛の活動に参加できるとうれしいです。

まとまりがなくなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

ABOUT ME
橘 雅子
人生は一度きり。 数年前から「みんなが希望をもって暮らせる社会を作るために何ができるか」を考え、やってみなはれの精神で一年半前に起業しました。 翻訳サービスや業務改善等のコンサルティングを中心に活動しています。 日本酒の海外PRも手掛け始めました。 人をつなぎ、地方をつなぐことで明るい未来へつなげたいとまちづくりや農業の活性化にも関心をもっています。よろしくお願いします! プライベートでは関東ファン人会の運営メンバーとして、関東のことをもっと知ってほしい、好きになってほしいとオンラインイベントなど開催しています。
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