Column

たてヨコラム

たてヨコメンバーによるフリーテーマのコラム

海上保安官って海猿ですよね?・・・いいえ、98%間違いです笑!!

皆様初めまして!!

コラム初投稿の横山慶(けい)です!
たてヨコに参加させていただいてから、
「コラム書いてみようかな、、、でも、皆さんのような素敵なコラム書けないな・・・」
と思って、ずっと身を潜めていました。。。
でも、
・もっと皆さんと仲良くなりたいな
・少しでも覚えてもらえたらな
という思いで、今回コラムに挑戦することにしました!
読みづらい点もあるかと思いますが、お付き合いいただけますと幸いです。

ざっくり経歴紹介

香川県高松市出身!
高校卒業までの18年間、香川で過ごしました。
(ちなみに、幼少期には高知や徳島にも住んでいたことがあるのですが、記憶がありません!)
そのため、体の半分はうどんで出来ています笑

高校卒業後、海上保安庁に入庁しました。
京都(舞鶴市)にある海上保安学校で1年間過ごした後
松山→福山→呉→岩国→松山
と転勤を繰り返し、2022年3月で退職しました。

現在は、YouTube用の動画やSNS用のショート動画、さらには社内研修向けのマニュアル動画の編集を個人で請け負っています。

なんで海上保安庁に入ったの?

小さい頃から、警察官や消防士に憧れがありました。
特に消防士には強い憧れがあったと思います。

時が経ち、高校3年生の夏を迎えました。
進学校には通っていたものの、行きたい大学も特になく、将来何をしたいかも決まっていなかったため、勉強に集中できず、日々がただ過ぎていくだけでした。
そんな時に同級生から
「オレ、海上保安庁を受験しようと思うんやけど、一緒に受験せん?」

と誘われました。

誘われた瞬間は
「なにそれ?全然知らん!!」
という状態でしたが、詳しく話を聞いていくと
・1年間学校に通いながら給料がもらえること
・京都で暮らせる
(実際は京都市内から海上保安学校がある舞鶴市までは特急電車で約2時間かかります)
・海上保安官は海の警察官であり、海の消防でもある
ということが分かりました。


当時、若干反抗期だったため早く親元から離れたい気持ちもあり
「家から出られるし、給料もらえるし、警察と消防一緒に経験できるってめっちゃええやん!」
ということから、受験を決意!!

それからは受験日まで時間が限られていたので、公務員試験の勉強に必死になりました。
この期間は過去イチ集中&楽しく勉強ができた瞬間でもありました。
おかげで、海上保安学校に無事合格!
当時は海猿効果もあり、倍率は20倍を超えていました。
自分でも受かったことにびっくりですね笑

ちなみに、当時誘ってくれた同級生は、受かりませんでしたが、半年後に後輩として無事海上保安学校に入校することができました。(海上保安学校は1年間に2回採用試験があります)

海猿って知ってる?

ところで、皆様、海猿はご存知でしょうか?
現在30代以上くらいの方は聞いたことがあるかと思います。
簡単に説明させていただきます。
『海猿』は、佐藤秀峰さんと小森陽一さんによる漫画で、1999年から2001年に連載されました。
海上保安官・仙崎大輔を主人公に、海難救助をテーマにした活躍を描いたものです。
あまり知られていませんが、初めてドラマ化されたのは2002年のようです(今、知りました笑)
国分太一さん、永作博美さんらによってNHKで放送されたようです。


実際に有名になったのは、2004年の映画化ではないでしょうか?
伊藤英明さん、加藤あいさんらが出演した映画です。
その後、2005年から2012年に続編が作られています。
タイトルの「海猿」は潜水士を指す創作の言葉で、敏捷に活躍するイメージが由来であり、映画やドラマの成功後、この言葉は広く知られるようになりました。

海上保安学校卒業後の生活

無事に1年間の海上保安学校での生活を終え、2007年4月に松山に配属されました。
初任地で乗船した船が「巡視船いさづ」です。

引用:Vessel And Ships Photo Gallery
いさづは2017年に解役となり、現在は巡視船「いよ」がその代わりに配属されています。

引用:松山海上保安部HP
三津浜港のラムーの裏手に停泊していますので、興味があればぜひ探してみてください。

現場に出てから3ヶ月間の巡視船の船内で生活を送りました。
「えっ!?海上保安官って365日船で生活してるんじゃないの??」
はい、してないです笑
いさづの場合は4泊5日の行動(任務)が多かったのですが、当然その間、巡視船は海の上です。
当然、4泊5日船内で生活します。

しかし、行動(任務)が終わり、基地に入港したら当直(船のお留守番)の人を残し、みんな家に帰ります!
官舎(いわゆる社宅)や自宅等々に帰ります。

私は新卒だったので、船内の仕事(船務)を覚えるために、3ヶ月間巡視船で寝泊まりしました。
巡視船にはトイレもありますし、風呂もあります。
テレビもあったし、ゲームを持ち込むのもOKだったので特に娯楽に困ることはありませんでした。
(本当は遊ぶ間もなく、勉強しなければならないのですが)

船が動かない日は、当直の人と船の整備作業をして過ごします。
船は鉄製なので海水を浴びると錆びます。
そのサビを自分たちで綺麗にしてペンキで塗装します(錆打ち、ペン塗りって呼んでました)
そのため、私、ペンキ塗りはかなり得意です笑
業者に頼むほどではないけど、ご自宅や店舗の塗装がしたいという方!
ぜひお声がけください笑

夜間連携訓練

さて、海上保安官生活で最も大事なことがあります。
その名も「夜間連携訓練
海上保安官は昼夜を問わず任務にあたります。
特に夜間の任務は真っ暗な中、同僚との意思疎通をする必要があります。
そのために一番必要なものは、お互いの信頼関係。
信頼関係を構築するために必要なのが「夜間連携訓練」でした。

・・・

すみません、早い話が飲み会です(汗)
そして、時々開催される特殊な夜間連携訓練も存在します。

その名を「連携強化特訓

・・・

またしても、すみません。
早い話が合コンです(汗)

やっと本題です!

さて、連携強化訓練で自己紹介する時には限らず、こんなやりとりがありました。

A「お仕事って何されてるんですか?」
私「海上保安官って知ってます?」
A「えーなんですかそれ?」
私「じゃあ、海猿って知ってます?」
A「知ってます!知ってます!横山さん、海猿なんですか?」
私「はい!!まぁそんな感じです!!」

すみません、嘘です!!
海上保安官、全員が海猿ではないんです(汗)
でも、当時は
・モテたい!!
・説明するのがめんどくさい!!
との理由から、堂々と海猿を名乗っていました笑

海猿ってなに?誰なん?

海猿は潜水士の資格を持ち、さらに潜水研修を突破した職員を指します。
(ちなみに潜水士の資格自体は一般の国家資格なので、海上保安官でなくとも警察官、消防士、水中で工事をする方等々資格を取ることができます。)
2022年海上保安庁の職員数は全国で1万4千名です。
(ちなみに東京消防庁は1万8千名!!)
このうち潜水士は240名!!
全職員の約2%です!!

ということで、全職員のうち98%は海猿ではないのです!

海上保安官の中でも厳しい訓練を乗り越えた人しか、海猿になれません。
この研修は立候補制ですが、
・日頃の職務状況で素質を認められること
・選抜試験(体力試験)を突破すること
をクリアしなければ参加することすらできません。

研修に参加することができたとしても、約2ヶ月間の訓練科目をクリアできた職員のみが、海猿になれます。
この研修は科目をクリアできなければ容赦無く落とされる過酷なものです。
また、科目をクリアできても、身体的な理由(潜水時の水圧に耐えられないとか)で落とされる場合もあります。

現在海上保安庁にいる240名の海猿たちは
・潜水指定船
・救難強化巡視船
に配置されています。
さらに、高度な技術を取得した海猿は
・機動救難士
・特殊救難隊
として、特定の航空基地に配属されています。
(海上保安庁って船だけじゃなく、航空機も持ってます!!)
特に、特殊救難隊は36名しかおらず、非常に狭き門となっています。
全職員の0.3%です!!
私も在職中に特殊救難隊と会ったのは、2回くらいです笑

海猿の生息地

この辺りで海猿が配属されている巡視船は、高松か呉になります。
高松海上保安部 巡視船 いぶき

引用:高松海上保安部HP

呉海上保安部 巡視船 くろせ

引用:第六管区海上保安本部HP
この巡視船に乗ってます。
たまに港に停泊したまま訓練をしている時もあります。
見れたら超ラッキーなので、海のそばに行く用事があれば探してみて下さい!

横山さんは海猿?

私は、潜水研修に参加していないので、海猿ではありません!
入庁後3年目に潜水研修に参加するチャンスがあったのですが、大人の事情で研修参加を断念。
その後は、海猿ではなく「制圧指導官」「携行武器指導官」という謎の肩書を拝命しました。
簡単に説明すると
・制圧指導官→犯人を逮捕する時に、安全に確保する方法を海上保安庁職員に教える
・携行武器指導官→拳銃の正しい使い方を海上保安庁職員に教える
みたいな感じです。
この辺の話はまた後日ということで!

海上保安官って自衛隊ですよね?

海上保安官として働いていると、よくこんな質問をされます。


「海上保安官って海猿ですよね?」
の質問に対しては
「まぁそんな感じです」
と答える海上保安官がほとんどですが、

「海上保安官って自衛隊ですよね?」
と聞かれた時は、明確に否定します笑!

自衛隊は防衛省の管轄ですが、海上保安庁は国土交通省の外局になります。
警察と消防くらい違うものです。
(外局とは・・・私もよく分からないので説明は控えさせていただきます笑)

ただ、ベテランの職員になってくると、この質問にすら
「まぁそんなもん」
と答えるようになったりします笑

最後に

さて、そろそろまとめたいと思いますが、どうまとめればいいか迷っています汗。

海猿の映画が公開されてから早20年。
在職中にも感じていましたが、海上保安庁の認知度はどんどん下がっています。
最近では、定員割れを起こす事態にもなっています。
(定員割れ:本来の人員配置ができず、一人二役している状況)
海上保安庁も広報活動を積極的に行っていますが、未だに効果が薄いようです。

すでに海上保安庁を辞めた身ではありますが、これからも海の安全を守るべく、海上保安庁の認知度を高める活動ができればいいなと感じている、今日この頃です。
その先駆けとして、引き続きこちらのコラムで、私の経験談を交えつつ海上保安庁ネタを投稿させていただこうと思います!
(うーん…次もコラム投稿するって言っちゃった汗)
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございましたm(_ _)m

ABOUT ME
横山 慶
高卒で公務員(海上保安庁)となり15年・・・2022年3月で退職しました。 現在はフリーランスで動画編集をしています。 最近は撮影にも挑戦中です! 少々人見知りな性格ですが、皆さんとお話しできることを楽しみにしています!!
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