Column

たてヨコラム

たてヨコメンバーによるフリーテーマのコラム

ビジネスデザイン

稼ぐことと、コロナ禍と、たてヨコ愛媛と。

新年度を迎えて1年前を振り返り、まさかここまで大変な状態が続くというか、根本的に解決しないような状態のまま、こんなに長引くとは予想していませんでした。

たてヨコ愛媛のメンバーの方々にはいろいろな職種の方がいらっしゃると思いますので、直接的に大きな打撃を受けている方から、逆にコロナ禍で伸びている業種の方もいるかもしれません。

私はというは、自社で運営しているスポーツのオンラインサービスは、イベントで人が集まることが厳しいため、大変な状況が続いていますが、Web制作などのデザイン事業に関しては、IT関係の助成金などもあり、一時的かもしれませんが、ある程度一気に案件が動いた感じはしています。

ともあれ、世の中を包んでいる空気感が重苦しかったり、息抜きができる機会もなかなかない中で、会社を経営している立場として、改めて「稼ぐ」ことについて考えることが増えたので、まずはそれについて書いていきます。

稼ぐことは利益を上げること

まず「稼ぐ」とはどういうことか、これは利益を上げていくことなので、大原則としては、売上を上げて経費を抑えるということになります。

大企業であれば経費を抑えることを本気で行うだけで、利益が大きく変わる場合もありますが、ウチのような一人会社の小さな規模であれば、売上をいかに上げるかにフォーカスすべきだと思います。

売上を上げる方法

  • 単価を高くする
  • 案件数を増やす
  • 作業工数を減らす

ぱっと思いつくのはこんなところでしょうか。そして、いくらこれらをやっても、1人では限界があることと、売上の柱が1つではコロナのような予期せぬ自体では対応できない場合もありますし、ビジネスモデル自体も時代の移り変わりによって古びていく場合もあるので、

  • 人を入れて会社を大きくする
  • 売上の新たな柱を増やす
  • 新たなビジネスモデルを生み出す

ということも重要です。

コロナのようなことが起きると、もう少し体力(企業の体力は基本的にはお金だと思います)があれば、潮目がかわるところまで持ち堪えられたのに、体力不足で力尽きてしまった…、ということがあるので、改めてしっかり稼いでいかなければいけないと感じています。

稼ぐことが苦手なクリエイター

ここまで、「稼ぐ!稼ぐ!」と連呼してきましたが、私はベースとしてはデザイナーという職業から仕事をスタートさせたので、会社員時代はあまり「稼ぐ」ということを意識せずに仕事をしていました。

どういうことかというと、誤解があるかもしれませんが、クリエイターは営業職などに比べると、稼ぐことが苦手な傾向があります。

それは、成果の基準が

  • 営業:数字(お金)

であることに対して、

  • クリエイター:成果物そのもの(クオリティや質)

だからです。

そのため会社ではよく、「営業 VS クリエイター」のような構図にもなりがちですし、クリエイターは良いものを作ることをゴールにしているので、単価の安い案件だからそれなりに作ったので良いと言われるようなことがあったとしても、10万円の案件のデザインの1/10の力で1万円の案件を仕上げるというようなことはとても難しく(ボリュームが違うなどであればわかりやすいですが、クオリティという側面で考えると本当に難しい)、売上を意識しない、数字に弱い、ということになりがちです。

しかし、会社員から独立してフリーランスになり、そして会社を立ち上げて、やはり、クリエイターにも営業力は必須だと感じています。

稼いでいるクリエイターは結局、営業力がある

「良い物をつくっていれば仕事はくる!」

デザイン業界などではよく言われることです。

それ自体は間違っていないと思いますが、良い物をつくり、多くの仕事が来ている人は、そのことをしっかりと発信しています。

営業といっても、何もテレアポやメール営業や、アポ無しで会社を片っ端から回る、などが営業なだけではありません。

会社(自分)の実績やスキル、うちと仕事をするとこういうメリットがあるよ!という情報を、しっかりと発信することも重要な営業活動です。

それに加えて、需要のあるものを提案する力も大切です。

好き勝手につくっているだけで仕事がどんどんきているクリエイターはほぼおらず(アーティストは別ですが)、しっかりとマーケティングや情報収集を行い、クライアントの課題を解決する提案ができるところが、仕事を獲得しているはずです。

フロー型で稼ぐか、ストック型で稼ぐか

少し、デザイナー、クリエイターの話により過ぎてしまいましたが、稼ぐ仕組みとしては、大きく分けると、フロー型かストック型に分けることができるのではないでしょうか。

ざっくり説明すると

  • フロー型:都度案件、やればやるほど売上は上がるが、案件がなければ0円
  • ストック型:会費、メンテナンス費、コンサル料など定額で支払われる仕組み

です。

どちらも一長一短があるので、善し悪しではありませんが、フロー型だけだとちょっと怖いですよね。なんせ、案件がなければ0円ですから。

それにくらべると、ストック型であれば、例えばコロナで新規会員は増えて無いけれど、これまでの会員がいるので毎月◯万円は売上がある!というように、経営が安定する上に、売上予測も立てやすくなります。そして、計画が立てやすいということは、採用も行いやすくなります。

デザイン業界でいうと、受注案件はある時はあるが、ない時はないので、フロー型になります。
しかし、Webサイトを作って毎月の運用保守があるとか、御社のデザイン関係のことは定額でまるっとお任せください!というプランがある、というような形にするとストック型になります。

しかし、制作会社でいうと、フロー型が中心のところが多いと思うので、ストック型に移行していきたいという課題を持っているところも少なくないでしょうし、他の業界でも似たようなことはあるのではないでしょうか。

会社員の給料はストック型なのか

このコラムを読んでくださっている方は、どのくらい稼ぐことを意識しているのでしょうか?

私が会社員だったころは、上に書いたように、稼ぐことを意識して働いていたことはほぼありませんでした。

しかし、給料は毎月ちゃんと入ってくるわけです。定額で支払われるわけですから、そういう意味ではストック型です。

しかも、稼ぐことを意識して働いていないくせに、長く働いていると、給料上がらないなぁ〜、ボーナスもっとでないかなぁ〜、というような気持ちは増していく一方です。

稼ぐことは考えていないのに、稼いでいないと上がらないであろう給料やボーナスが上がって欲しい!と思っている(上がらないと不満くらいに思ってしまう)というのは、経営者になって考えると、社員という立場だったとはいえ、もっとお金の勉強をしておけば良かったと思います。

そして、会社は結構潰れたりするもんです。

私は、新卒で入社して、転職をすることなくフリーランスになったので、自分のいた会社が潰れた経験はないですが、会社が潰れてフリーランスになりたいわけでもないのになった(ならざるを得なかった)、というような話はよく聞きますし、そんな経緯で入社してきた方も実際にいました。

そう考えると、「会社員の給料はストック型なのか」に対しての回答は、普通の会社はちゃんと毎月給料が払われるものだが、経営が傾いたら払えなくなることもあるし、潰れることもあるので、会社が健全である時期のみストック型みたいな感じで、ストック型ではない。ということになるのでしょうか。

今の時代の安定や安心とは何なのか

「稼ぎたい!」ということも、「ストック型の売上が欲しい!」ということも、とどのつまり、時代の変化が激しい今の時代に、どうなるかはわからないけれど、「安定したい!安心したい!」という心の表れのように思えます。

しかし、コロナしかり、AIしかり、イノベーションしかり、いろいろな意味でドラスティックに変化して行く時代なので、これができれば死ぬまで安泰!的なものは絶対ない!といい切って良いくらいないでしょう。

そんな時代に安定や安心するためには、「時代や状況が変わっても生き抜く力を身につける」ことになるのかなぁ、と個人的には思います。

個人の力でどうしようもないような大きな変化もどんどん起きます。上手く適応しつつ、できれば先手を打ちながら、戦況を読んで生き抜く!みたいな感じなのではないでしょうか。

たてヨコ愛媛の存在意義とか

冒頭のコロナの話題から始まり、大変な時代を生きてるもんだよなぁ〜と感じているのですが、そんな中で、次の一手やアイデア、なにかあった時に助けてくれる(かもしれない)ような関係づくりは、会社と家庭だけではなかなか築けるものではないかもしれません。

だからといって、異業種交流会に行きまくるとか、セミナーに参加しまくるとかでもない気がする(そういうことで解決する気がしない)、もっと、自分の好きなことや、興味のあることや、絡んで面白そうな人たちと、飲んだり話したり、プロジェクトもやったりすることで、楽しみながら次のキャリアや生き方を考えていく、そんなコミュニティとして「たてヨコ愛媛」は程よく緩く、楽しく、何より自由な点で存在意義があるように個人的には思います。

しかし、それ故にある程度余裕がないとコミュニティとの距離感はできてしまうかもしれません。

稼ぎ方のところでも触れた「フロー型か、ストック型でか」ですが、フロー型は詰まるところ、やればやるほど稼げるというカタチです。

仕組みができれば放おっておいても売上が上がる場合もあるストック型と違って、売上を上げたいなら働けるだけ働いた方が売上が上がります。

生きていくためのお金を稼ぐところで一杯一杯だと、なかなかたてヨコのようなコミュニティには参加しづらいところもあるように思います。
※たてヨコ自体は関わり方も、距離感も自由なコミュニティなので、好きに関わればいいのであくまで個人的な見解というか、悩みのようなものです。

忙しくてなかなか自己投資ができていないなぁと思う日が続いているので、このあたりは自分に取っての課題です。

なぜ稼ぎたいのか

最後に「そもそもなぜ稼ぎたいのか」についてです。

お金に縛られなくてもいいようになるため。

というのが大きいかもしれません。

お金から開放されるためにお金を稼ぐというのも矛盾して聞こえるかもしれませんが、もう少しそこから開放されていくと、次のステージのようなものが見えてくるのではないかと思います。

そして、もう1つは快適な世の中にしていくためです。

デザイナーの仕事は一言でいうと「課題解決」だと思っていて、それが自分のベースになっています。

デザインの案件でなくても、そのような思考で仕事をしていると思いますし、そうやってクライアントの課題などを解決していくと、回り回って、社会自体の課題が解決されていくはずです。

ただ、解決できる課題の大きさはお金(私に取っては売上)に比例していることになります。

そう考えると、より大きな仕事をして、良い社会になり、自分も快適に生きていくには、稼がないといけないな!と思います。

あえてあまり整理せず、最近モヤっていることをそのまま書き綴った感じですが、文章に書いてみるとスッキリするものですね!
読んだ方がどう思うかは、あまり考えていませんが、バタバタした時間の中で、集中して文章を書く、いい時間が過ごせました。

ABOUT ME
井上 和俊
・1982年9月21日生まれ 愛媛県大洲市出身 ・平成13年4月 日本大学芸術学部デザイン学科コミュニケーションデザインコース 入学 ・ 平成17年3月 日本大学芸術学部デザイン学科コミュニケーションデザインコース 卒業 ・ 平成17年4月〜平成25年3月 東京のデザイン制作・広告代理店会社 株式会社オゼットクリエイティブ 入社 正社員デザイナーとして勤務。 大学の学校案内、企業の会社案内、採用サイトなどを中心に、企画からデザイン制作までをおこなう。 ・ 平成25年12月 愛媛にUターン ・ 平成26年1月〜平成30年8月 Layersという屋号でフリーランスのディレクター、デザイナーをスタートする。県内企業のWebサイト、紙媒体の制作実績多数あり ・ 平成26年10月〜現在 河原デザイン・アート専門学校の非常勤講師も務める ・ 平成29年9月〜現在 スポーツ及びフィトネス関連事業をおこなう「株式会社KuruSPO」を設立し、代表取締役を務める ・ 平成30年9月〜現在 Laerysの事業をKuruSPOに統合 ・ 平成30年10月 「えひめ地域活性化投資事業有限責任組合」の第二号投資先として投資を受ける ・ 令和元年10月 「えひめイノベーション起業塾」最優秀賞受賞
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