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たてヨコメンバーによるフリーテーマのコラム

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撲滅困難なハラスメントと向き合う、「スイスチーズ」的思考法。

※まず、筆者は「ハラスメント肯定派では一切ない」ことを冒頭にお伝えいたします(ここ、とても大事です)。 私自身がハラスメントの被害者であった過去、現在、未来―・・・。そして、お恥ずかしながら無自覚にも行ってきた(行ってしまう)加害者側としての「自戒」も込めて、「ハラスメント」と真剣に向き合う私にどうぞ最後までお付き合いください。

だれもが、ハラスメントの「当事者」である

 現代の社会問題のひとつ、「ハラスメント(嫌がらせ)」。

 職場、学校、家庭内、あるいはプライベートコミュニティ。多かれ少なかれ、いま、この瞬間にもハラスメントが発生してしまう世の中です。「セクハラ」、「パワハラ」、「マタハラ」、「アカハラ」、これらの言葉自体に敏感な方もいらっしゃることでしょう。ハラスメントが生じる現場では「被害者」、「加害者」、あるいは「傍観者」がいます。

―・・・今、ハッとした、そこのあなた。

 

そうです。誰もがハラスメントの当事者です。

「環境整備」に、頼るまえに。

 2019年5月、改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が成立し、大企業は2020年6月に施行、中小企業は2022年4月から施行されます。「パワハラ大国」ともいわれる日本ですが、確実にハラスメント防止に向けた動きにシフトしています。 

 しかし、悲しいことに人はとても弱い生き物です。「ハラスメント根絶」までには多くの時間がかかることでしょう。もしかすると、常態化は防ぐことができたとしても、根絶は不可能かもしれません。 

 世界があらゆるハラスメント撲滅に向けて動き出しているのは事実です。加えて、SNSやメディアを通じた個人の発信力も強くなってきた世の中ですから、おそらく今後ハラスメントの数は減っていくことでしょう。しかし、繰り返しお伝えしますが、ハラスメント撲滅の環境が整うまでには多くの時間を要します。

 実は、ハラスメント防止のためには法律や職場環境の整備に頼る前に、自分自身で出来ることもあります。ハラスメントの場面に遭遇してしまったら、まずはこのように考えてみてください。

「なんでハラスメントが発生したの?」

 「ハラスメントは、被害者にも原因がある」という恐ろしい意見を耳にすることがありますが、ハラスメントは「加害者がいる場所」から発生するものです。「ハラスメントを防ぐ」という目的達成のためには、被害者のケアを行いつつも、まず加害者側のことについて原因を探るとその解決の糸口は案外簡単に見つかることがあります。

 

 ただ、この考え方、少しリスクがあります。

「被害者の立場より先に加害者の立場を考えるだと!?」

「人の気持ちなんて分かるわけがないじゃないか!」

 そもそも「加害者側目線」を第一に考えること自体に疑問を持つ方がいるでしょう。ちなみに、これを考えることが重度のストレスになる方は無理に思考を続ける必要はありません。私もそうして泣いて苦しんだことがありました。そんなときはまず「その環境から逃げてください」。

 逃げてもいいのです。あなた自身を見失うくらいなら。

 

 ただ、ココロもカラダも、そして環境も落ち着いたとき、加害者のあなたも、被害者のあなたも、傍観者なあなたも、一度はこれを考えてみて欲しいのです。  

なぜ、ハラスメントがじたのか」。

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ABOUT ME
岡田 未奈
愛媛県松山市出身の平成生まれ。 「いのちをささえるエンジニア」である臨床工学技士として県内の医療施設に従事。人工透析を主業務として、呼吸治療、心血管カテーテル治療、不整脈治療、医療機器管理などを兼務。  一方で、『医療にDESIGNを。』をコンセプトとしたパラレルワーキングをしており、ライター、グラフィックレコーダー、プレゼンテーションデザイナーなどマルチクリエイターとして多彩な顔を持つ。 2021年4月より京都芸術大学大学院で社会を変えるための創造力となるデザイン思考の研究を始めるほか、2022年4月より青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラムに参加。 愛媛県下で学生や一般社会人を対象としたデザイナー的マインドを養うためのコミュニティや学術的な場を創ることが目標である。
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