【導入】
はい、結論から先に言います。トマトで癌が治るわけありません。1ミクロンも信じちゃだめです。
その話にエビデンスはありますか?
・近所のおばちゃんが言ってた?
・テレビでお医者様が言ってた?
・海外で論文があるって聞いた?
そのどれもが、この話を信じる根拠になりません。
エビデンスと何なのか、正しく情報を読み取る力とはどんなものなのか。
今回はそんなエビデンスに関する話を、トマトと癌のたとえ話で解説します。
とってもわかりやすい内容ですので、これを読めば論文になったからといって何の根拠もないことがわかるはずです。
【まず何より、話の根底をずらさない】
詐欺のテクニックでもよくあるのが、話がずれることです。
お金を払う、払わないの話だったのに、いつの間にかいくら払うのか、みたいな話になっているやつです(たとえとしてあっているかは不明です)。
再三いうように「トマトが癌を治す」なんて話はありません。

あるとすれば、トマトに含まれるリコピンという抗酸化物質ががんのリスクを下げる可能性について研究されているのは事実です。例えば、以下のような研究があります。トマトに含まれるリコピンが、癌のリスクを下げてくれるという論文はあるということです。
トマト・リコピンとがんのリスクに関する研究例
- 観察研究(コホート研究)
- リコピンの摂取量が多い人は前立腺がんのリスクが低い(Giovannucci E, J Natl Cancer Inst, 2002)
- メタアナリシス(複数の研究を統合した解析)
- リコピン摂取と前立腺がんのリスク低下に関連がある(Rowles JL, Prostate Cancer Prostatic Dis, 2017)
癌を治すことと癌のリスクを下げることは全然違います。リスクを下げるとは癌になりにくくなるということなので、癌になったものを消すわけではありません。
世の中の情報にはこのようにしれっと情報を書き換えられているものが多数存在します。
【エビデンスの強さの話】
エビデンスには強さがあります。世界的に有名な雑誌に載った研究と近所のおばちゃんの話が同じレベルで信用できるわけないですよね。下のピラミッドのような強さ順になっています。一番弱いのは個人的な意見です。そこからケースレポートや小さい研究を挟んで、大規模、他施設、ランダム化された試験ほどその信憑性は高まります。このあたりがわかりにくいと思いますので、今回はトマトと癌のたとえ話で解説します。

トマトはがんを治すのか?エビデンスの強さを実験で考える
🔹 レベル1:「〇〇さんがトマトを食べてがんが治った!」(ケースレポート)
SNSやテレビで「私はトマトを食べてがんが治りました!」という話を聞いたことはありますか?
でも、これは 「たまたま治ったのか、本当にトマトの効果なのか」 分かりませんよね?
✔ この人だけの話(症例報告)なので、証拠としては弱い
🔹 レベル2:「トマトをよく食べる人はがんが少ないらしい!」(コホート研究)
次に、ある大学の研究で「トマトをよく食べる人は、そうでない人よりがんのリスクが低い」と発表されました。
「おお、やっぱりトマトが効くのか!」と思いがちですが…ちょっと待ってください。
✔ トマトをよく食べる人は、他にも健康的な生活をしているかも?
✔ 運動や他の野菜の影響じゃないの?
「トマトの効果」だけを確認するには、もっと厳密な実験が必要です。
🔹 レベル3:「RCT(ランダム化比較試験):トマト vs. トマトなしの実験」
ここで、より確実にトマトの効果を調べるために、**「くじ引きトマト実験」**をします。
1,000人のがん患者を、ランダムに2グループに分けます。
- トマトグループ → 毎日トマトを食べてもらう
- 対照グループ → 普通の食事でトマトなし
数ヶ月後、どちらのグループでがんが減ったのかを比べます。
もしトマトグループで明らかにがんが減っていれば、トマトに効果がある可能性が高いと言えます!
✔ 「トマトを食べる人は元々健康的だったのでは?」という疑問を解消できる!
✔ でも、1回のRCTだけでは結論を出すには不十分。そこで…
🔹 レベル4:「メタアナリシス:世界中のRCTを全部まとめて分析!」
「でも、このRCTの結果だけで決めるのは危ないんじゃない?」
そう、RCTは確かに信頼性が高いのですが、1つの研究だけだと
- たまたま結果が良かった可能性(偶然の要素)
- 他の研究では違う結果が出ているかも
という問題があります。
そこで、過去のRCTをすべて集めて、大規模な分析を行うのがメタアナリシスです!
✔ 世界中のRCTの結果をまとめて解析し、最終的に「トマトは本当にがんに効くのか?」を判断!
✔ メタアナリシスで「トマトは効果がない」という結論になったら、RCTが1つくらい「効果がある」と言っても、それは例外かもしれない。
こんな感じです。なんとなくイメージできましたかね。多くの症例を集めた方がエビデンスとして強いというイメーはまだわかりやすいと思いますが、ランダム化という要素もとても大事なのです。
あまり大きな声では言いませんがR〇1の「医師の94%が勧めた!!」なんて話がありますが、これを聞いてどう思いましたか?まさか「そんなに多くの医師が勧めるなら飲んでみようかしら」なんて思わないでください(もちろん、好きで飲むのなら好きにしてくださいね)。
ホームページを見ればわかりますが、1094人の医師へのアンケートの結果です。たかだか1000人です。しかもどんな状況かわかりませんが、無料でR-〇貰って、アンケート書いたらそんな忖度だらけの結果になると思いませんか(〇-1そのものが嫌いなわけではないですよ。飲んだことはないですが)。
というわけで、世の中のエビデンスによると~、論文で言われているとおり~ などと言った文言に騙されないようにしましょうね。


























