Column

たてヨコラム

たてヨコメンバーによるフリーテーマのコラム

スタートアップビジネス事業

愛媛のスタートアップ・エコシステムはここから!

皆さん、はじめまして。愛媛生まれ愛媛在住の徳永邦彦と申します。県内の金融機関でスタートアップへの投資を担当しています。
初めてですので自己紹介も兼ねて業務に関連ある内容を書いてみますが、意見や主張はあくまで私の個人的見解であり、所属する企業、組織とは一切関係ないことを予めお断りしておきます。

今回は、愛媛のスタートアップの現状など説明したうえで今思うこと、など徒然と書いてみようと思います。

ちなみに、ここでいう「スタートアップ」は狭義のスタートアップのことです。

 広義のスタートアップ:創業間もない企業や個人すべて

 狭義のスタートアップ:急成長するように設計された企業

アメリカでいうとGAFAみたいな、日本だとサイボウズさんやメルカリ、ユーグレナみたいな企業ですね。

愛媛県スタートアップの現状

まず、愛媛県のスタートアップの現状なのですが、公式の統計などはなかなかありません。

これは、スタートアップ情報サービス「INITIAL」が公開しているレポートから拾った県別の資金調達額推移です。ここでいう資金調達は、ベンチャーキャピタルや事業会社から出資のことです。
広島や岡山より少ないのはまあそうかなと思うのですが、香川や徳島、大分と比べてもちょっと少ないですね。東京への集中はすごいですし、福岡は頑張ってんな、とかいろいろ思うことあります。
ちなみに、出資だけが資金調達ではないですし、スタートアップだから必ず出資受けないといけない訳でもないのであくまで参考です。

続いて、中四国のIPO(株式上場)企業の推移です。表が小さくて恐縮です。

コンスタントに出ていると見るか、あんまり出てないと見るか意見の分かれるところでしょうか。
1年間にIPOする企業はざっくり100社前後で、うち7割くらいが東京含む関東なので、30社程度は関東以外の企業だと考えるともっとあってもいいような気もします。あと、中四国全体を見渡してもいわゆるスタートアップ的な企業はあまりない印象です。

政府のスタートアップ支援

次は国のスタートアップ支援策における愛媛県の状況です。 岸田政権のスタートアップ政策は今後具体的になっていくと思うのですが、安倍政権時代から続く国のスタートアップ支援策として代表的なものは「J-Startup」「スタートアップ・エコシステム拠点都市」です。

J-Startup」とは、グローバルで活躍できる潜在力ある企業を選定し、政府や民間の支援を集中して成長促進するプロジェクトで、これまで約200社が選定されています。選ばれると、CESやSXSWみたいな展示会に出展しませんかって国から案内されたり、JETROが海外で一緒に営業に回ってくれたり、省庁が製品買ってくれたりするらしいです。ずるいですね。
えっと、愛媛県の企業は・・・ないですね。というか、四国に広げても1社しかないです。

「スタートアップ・エコシステム拠点都市」は、日本版シリコンバレーになれるようなポテンシャルのある都市を集中的に支援していく施策です。「拠点都市」に選ばれているエリアは、東京(横浜やつくばも含む)、名古屋・浜松、関西(京阪神)、福岡、「推進拠点都市」は、札幌、仙台、広島、北九州です。
やっぱり、四国は・・・ないですね。

どちらも国が公然と「えこひいき」する施策ですので、ここに選ばれないのはハンデっちゃハンデです。岸田政権には、四国を置き去りにしない施策も期待します。

一旦まとめると…

ここまで総合すると、愛媛のスタートアップシーンは盛り上がっているとは言い難く、国の支援もすぐには期待できない、ということかなと思います。
ここのようなコミュニティなど素晴らしい取組みは数多くありますし、行政、民間に関わらず携わっている方はすごく努力されてるのですが、IPOを目標に急成長を目指すような「狭義のスタートアップ」という切り口で見てみると、中央の目に触れるほどではないとか、他の地域と比較して目立っているという程ではない、というのが現状なのかなと感じます。

そんな訳で、民間からもボトムアップ的にもっともっと盛り上げていかないと!と思っているものの、なにか起爆剤になるようなきっかけが欲しいと悶々としている、というのが私も含めた関係者を包む雰囲気ではないでしょうか。

そもそも愛媛県にスタートアップは必要か?

別にスタートアップじゃなくてもいいでしょう、スタートアップとしても成功するためには東京に行ったほうがいいでしょう、という意見もあると思います。それはそれで有りです。

ただ、個人的には愛媛県にはスタートアップ「も」必要だと思ってます。「も」ということは、スタートアップ以外(の創業や起業)も必要ということです。当たり前ですが、スタートアップ支援だけが経済政策の万能な唯一解ではないですから。

アサヒビール西条工場では58名働いているそうです。それだけの雇用を成熟した既存産業で吸収することは容易ではありません。でも従業員5名の会社が12社立ち上がれば吸収できます。事業は、地域密着型のビジネスでもスタートアップでもどちらでも良いのです。

愛媛には地域ごとにバランスの取れた素晴らしい地場産業が分布しているので、ここを支援していくことも極めて重要です。ですが、雇用環境や地域経済の持続可能性を考えたときに、スタートアップを含む多様な起業により新陳代謝を図っていくこと、それによりしなやかで足腰の強い産業構成を形作っていくこと、が重要であることは疑いようがないと考えています。その点において、地域の核となる企業への急成長を志すスタートアップの存在もまた欠くことができないと考えます。

救世主⁉ 塩崎先生の登場

昨年の総選挙で弁護士の塩崎彰久さんが愛媛1区から立候補し当選されました。当選直後のインタビューで「弁護士としてスタートアップに関わってきたキャリアを活かし、媛県の上場企業を2倍にしたい」と力強くコメントされているのを聞いて、「ついに来た!これだ!!」と思い、すぐにFBで友達申請しました(無視されましたけどw)。

ただ、同じように思っている方は多いようで、今後、愛媛からもいろいろな動きが起こってきそうな兆しはなんとなく感じています。このタイミングを逃したら次は何年後になるかわからないチャンス到来なのです、多分…

前回、岡本さんがご紹介された「EIB」が今年スタートするのも何かの巡り合わせに違いないと思います!
ただ悶々としていた私と違って着々と準備されてきた岡本さんまじ尊敬します!

愛媛のスタートアップ・エコシステムはここから!!

お前もエコシステムの一員だろうに、自分のことを棚に上げて評論家みたいに論説するな!という声が聞こえてきそうですが、これまでの努力不足(行動不足か)へのご指摘、すべて受け止めます。すみません。

でも、愛媛のスタートアップ・エコシステムはコッカラッス!

自分はサラリーマンなのでいつ今の仕事を外されてしまうかわからないのですが、この時期に愛媛のスタートアップ・エコシステムの一員でいられる幸運に感謝し、「一日が一生」と思って精一杯取組みたいと決意表明して結びます。

ご相談などあればお気軽にご連絡ください。

ABOUT ME
徳永 邦彦
地銀系VCいよぎんキャピタルの投資部長/投資リターンの最大化と地域経済活性化の高次元両立を目指す/四国・瀬戸内に人的・技術的・経済的に縁のあるスタートアップ中心に投資/地元ではシード投資も検討します/新居浜西⚾/慶大法/中小企業診断士
PHP Code Snippets Powered By : XYZScripts.com