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たてヨコ愛媛で立ち上がったプロジェクトの紹介と報告記事。
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DAISプロジェクトエッセイビジネスライフスタイル休止

四国の「I(アイ)」の話

「人生に刻まれる研修」

「いや、傷跡が残る研修(笑)」

2018年に西条で始まり、2020年には松山に展開、約70名ものビジネスパーソンが関わった異業種CSR研修「DAIS」。

冒頭の発言は、研修に参加した方からの一言でした。

はじめまして。巴山雄史(ハヤマユウシ)と申します。兵庫県出身、10年間主に東京でサラリーマンをし、2016年に独立&福岡県に移住。

大学時代「学生団体こっから」をやっていた同級生6人で「合同会社こっから」を立ち上げました。合同会社こっからの事業は、「人と組織を元気にする仕事」。そのための研修を企画したり、採用支援やビジョン策定など色々やります。

他にも、米や野菜を作ったり、ベトナムフォー屋をやったり、本屋をやったり、大学の講師をやったり、ラジオに出たりと、本当に色々やります。

このような「なんだか色々なことをやっているからよくわからない=怪しい人」という風に、バイアスという名の斬鉄剣に一刀両断されがちなのがもどかしい限りですが、「心からやりたいことを一生懸命楽しむ人を増やしたいし、自分たちもそうありたい」という会社のビジョンを5年にわたり全うし続けた結果こうなってしまったとしか言いようがない(笑)

さて、DAISの話でした。

2016年の創業当初から西条のとある企業とお付き合いがあり、ある日社長から「CSRを考えているが、ありがちな、その時だけ地域の掃除をするようなのはしたくない。実のある、ちゃんと続いていくようなのなんかない?」とご相談いただいたことがきっかけでした。

そこで提案したのが「DAIS」です。

「地域のビジネスパーソンの混合チームが、ある社会課題に対してのソリューションを提案、そのプロセスを通じてそれぞれのリーダーシップを育む。」一文で表現するとこんな感じですが、そこには色々な難易度が存在します。

・初対面の、会社も職種も業界も違う、DAISに臨むモチベーションも違う参加者同士でチームワークを構築し、一つのソリューションを創りあげていくこと。

・提供される社会課題は、これまで培ってきた専門性や得意技が通用しにくいこと。

・このような「非日常」によって揺さぶられる自分自身に目を背けず向き合うことで自己のリーダーシップを磨いていくこと。

他にも挙げればキリがないのですが、研修といっても椅子にただ座っていれば終わる類のものとはおよそ違う、割とタフでガチな雰囲気だということはわかっていただけたでしょうか。

数ヶ月の実施期間を終えたのち、色々な感想が行き交う中、特に印象的かつ側面的に多くの参加者の声を代弁しているのが冒頭の、「人生に刻まれる」「傷跡が残る」の言葉です。

要は「キツかった」という話なのです。一体何がそんなにキツかったのかと聞くと、「自分が頑張って頑張って練り上げた提案の評価が悪かった時のこと」と返ってきます。

DAISでは、計3回ソリューション提案のプレゼンがあります。

毎回シビアに、そしてNO忖度で良い悪いの評価が下されます。

参加者からしてみれば「忙しい本業の隙間を縫うように時間を作り、チームメンバーと喧々諤々議論をし、よしこれで行こうとぶつけた提案に、最低評価つけられた(泣)」みたいなことでその心情もわかりつつ、でもこれって要は「自分(たち)で意思決定したことに対する評価に真正面から向き合うのがキツい」ということだと僕は解釈しています。

A案でいくべきか、B案でいくべきか、実際はもっと複雑な議論がなされているかと思いますが、そのどんな意思決定もリスクをゼロにすることはできません。

こうしてなんとか絞り出す思いでアウトプットした提案が、剣もほろろに打ち返されてしまう。「お前の意思決定は間違っていた」という言い訳無用の現実を眼前に突きつけられるわけです。確かにキツいですね。

でも、ここまで読んで「それって当たり前のことだよね。」と思う方もいるかもしれません。果たしてそうでしょうか。

僕も一人の経験者として思うのですが、企業で働いていると「リスクを背負って意思決定する」機会って実はそうありません。管理職にでもならない限り、ほとんどないと言ってもいいかもしれない。

意思決定は、上司や経営者などの「誰か」がするものであり、また過去の慣例やマニュアルによって「既に決められている」こと。

企業という集合体には、時としてそんな潜在意識が通底しているように思います。

仮に意思決定を迫られるシーンに出くわしても「自分本来の意思とは関係なく、そして一番ダメージを被らない最大公約数的な答えを最速で導き出す」その無意識の反射行動。

僕にも心当たりがあるし、末長く組織でサバイブしようとすると、ある意味必要な能力かもしれません。

でも、もうそんなことに自分のCPUを使っている場合じゃないと僕は思います。

僕が住んでいる福岡市の高島市長は、「リスクを背負って決断すること」が真のリーダーに求められる姿だと言ってます。

DAISで関わったある企業の経営者はこうも言いました。「DAISって経営者を疑似体験するようなものですね。」

VUCAな時代です。この言葉を使うのも、もはや野暮で億劫ですがコロナの時代です(笑)。

先行き不透明なこれからに対して誰もがリスクを背負いながら決断しなくてはならないのに、その立場を取らず、安全な対岸から石を投げている人ばかりじゃそれこそお先真っ暗です。

決断できるリーダー、経営者が会社を経営するように自分の人生にオーナーシップを持ったリーダーがもっともっと増えないことには、光明はないと考えます。

そして、そのための社会装置としてのDAISだと捉えています。

リスクリスクと言いますが、DAISで生じる社会的なリスクは何もありません。あるのは、プライドが揺さぶられたり、見ないようにしてきた自身の弱さに目を向けるストレスというリスクです。DAISというある意味安全な箱の中で、人工的なストレスに晒されるだけの話なのです。

でもその結果、こんな感想もよく寄せられます。「こんなに自分と向き合ったのは初めてだった。」

DAISは今年、NPO法人として生まれ変わります。

これまでプロジェクトベースで動いてきましたが、ご協力いただいた多くの企業と一緒に担ぐ形にし、より愛媛や四国に根をおろして活動を行なっていきます。それは、こうした真のリーダーを、東京でもなく、大阪でもなく、この四国で輩出し続けていく、ということです。

DAISの「I」は、私・自分。DAISの「I」は自己のリーダーシップを指しています。他の「D」「A」「S」は何なのか。四国にこだわるあたりも含めて、もっとお伝えしたい話があるのですが、紙数が尽きたようなので今回はこの辺で。

ということで、(もう一度言いますw)コロナの時代の四国の「I」の話でした。

ABOUT ME
巴山 雄史
企業向け人材開発・組織開発のファシリテーターが本業です。 副業として、池袋でベトナムフォー専門店「Pho Thin TOKYO」やってます。 兵庫で生まれ育ち、東京でサラリーマン、2016年に独立で福岡に移住しました。 愛媛県のビジネスパーソンによる愛媛県の社会課題解決を行う、異業種混合型CSR研修「DAIS」の仕掛け人として、福岡と愛媛を行ったり来たりの生活です。
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