「ワーク・ライフ・バランス」できていますか?
人が働きながら豊かな生活を送るためには「ワーク・ライフ・バランス」の実現が大事だと言われています。
臨床工学技士の職能団体にも「ワークライフバランス委員会」があり、医療という専門性の高い職種のなかで、さまざまなライフステージとどのように付き合うか、積極的なディスカッションが行われています。
ただですね、わたし…
言いにくいんですけど…
この「ワーク・ライフ・バランス」が辛くて辛くて、辛くて辛くて仕方がないのです。
お、お……おおぉ。
久々のコラムで、この人、なんてことを言い出すのでしょうか。
あ、「ワーク・ライフ・バランス」を否定しているわけじゃないのです。これはとてもとても大事な考え方なのです。
ただ、ひねくれ者の私はどうしても「ワーク・ライフ・バランス」が苦手なのです。
Balanceとるの、難しくないですか?
さて。「Balance」とはどういう意味で解釈されていますか?
1 釣り合い。均衡。また、調和。「左右のバランスが悪い」「バランスのとれた食事」
ワーク・ライフ・バランスにおける「バランス」は、どちらかというと均衡とかつり合い意味でとらえている方が多いのではないかと思います。「ワーク・ライフ・バランス」をイメージしている写真なども、ググってみると、シーソーのようなものでバランスをとっているものが多いですよね。
これこれ。
これが負担なんですよ。
この軸に値するのが「私」のはずなのに、バランスを保つように「努力」しないといけない感じですよ。
「仕事している自分」と「プライベートを楽しんでいる自分」を対極に置いている感じがストレス極まりないのです。
そもそも、
なんで、「対局」に置かなきゃなんないの?
ごっちゃまぜ、が、楽じゃん。
私はあまり、「仕事」と「プライベート」を分けて考えないようにしています。
時間的かつ空間的にも、「ワーク」と「ライフ」、どちらの要素も含んでいる自分がいるなぁ、なんていうときもあります。
ライスワークである臨床工学技士をしながら、ライフワークとしてプレゼンテーションデザインやグラフィックレコーディングをしたり、デザイン思考を学びに大学院生してみたり、コワーキングスペースで横のつながりひろげてみたり、たてヨコ愛媛のイベントにお邪魔させていただいたり……。
物理的な環境と時間に追われ、たまにプチパニックになることもありながらも、そんな生活や、そんな自分が、割と好きです。
コワーキングスペースや地域コミュニティに足を運んで医療従事者以外の人と関わることで、医療を分かりやすく伝えることが必要だと気づき、そのためには「伝える」技術が必要だからプレゼンテーションスキルを学び、それが学会発表や患者さんとの円滑なコミュニケーションにつながっています。
興味で始めたグラフィックレコーディング(グラレコ)をすることで、描くこと以上に「聞くこと」のスキルが身につき、授業やセミナーであえてグラレコをすると以前よりも吸収力が増して(高校生の時に知っていればもうちょっとまともになってたかしら、ぴえん)、勉強や資格取得もなんだか楽しくなって、肩書が増えたことで仕事の依頼も増えました。
「医療×デザイン」を究めようと思うと臨床工学技士としてのスキル向上のために仕事も頑張るし、仕事が嫌いにならないように学会資料やマニュアル作りにデザインを取り入れてみるし、学校での学びを職場に取り入れることで机上の空論にならずに済むし、医療の知識は「家族にもしものとき」に命と冷静に向き合えるしー…。
それぞれの要素が、その他の要素にプラスの影響を与え合っているのです。
分けて考える必要はないのです。
あ、これ、「ワーク・ライフ・インテグレーション」と言います。
ワーク・ライフ・バランスを図るための「働き方改革」は、時間の制約だけの対策でしかないと考えています。高齢者の活用、キャリアアップ、ダイバーシティ人材を育成するための幅広い生き方を許容できるような社会になれば、「仕事」が生活の一部となり、「生活」のなかに「仕事」が溶け込むようになり、延いては経済も上手に回るのではないかと思います。
仕事で疲弊しきらないための、大事な考え方。
仕事とプライベートは相反するという考え方が生まれた背景は、時間の配分だけが問題ではなく、人が「生きがい」をもった人生を送るにはどうしたらよいか、という悩みなのだと思います。
どんなやり方が正解か、私も正直分かりません。
女性ならではのライフステージを迎えたときに、今と同じような生き方ができるとは思ってませんしね。ただ、そこに不安になりすぎずに、「そうなったらこうしたいな」「あれやってみたいな」と、今からワクワクしたワーク・ライフ・インテグレーションを妄想して楽しんでいます。
仕事とプライベートを対極のものととらえず「融合する」という視点。
「人生100年時代」だからこそ、シフトしたい考え方。
もっと広がると、いいですね。