『僕はこの世界に左足から登場した。』
世界、社会はコロナによって生まれ変わりました。
『人はひとりで生まれ、ひとりで死んでゆく。本来孤独な生だからこそ、孤独の寂しさを癒そうとして愛を需(もと)めます。愛する相手にめぐり逢うことは神か仏の恩寵でしょう。』
瀬戸内寂聴さん
今回のコラムは「孤独」がテーマです。
私は仕事の拠点として東京に住んでいます。愛媛に行きたいけどなかなか帰れません…コロナ渦において緊急事態宣言もあり、ここ1〜2ヶ月の勤務体系として9割方、在宅で仕事をしています。
大好きなお酒を嗜む飲み会もここ最近は息を潜め、人と直接コミュニケーションをとることが少なくなり、良い意味でも悪い意味でも「孤独」を感じることが増えました。
コロナによって「孤独」というのは大きな社会的課題になっていると感じます。私は会社のなかで部署のリーダー的役割を担っていますが、東京拠点のメンバーはリモート勤務であるため部署の社員の方々とほぼほぼ会うことがありません。私のように、チームとしていかに孤独感を与えないような組織づくりに悩むことに直面している人も増えているのではないでしょうか。
みなさんは「孤独」を感じていますか?感じる時がありますか?
「孤独」とは何か?
広辞苑によると、「孤独」とは、仲間や身寄りがなく、ひとりぼっちであること。思うことを語ったり、心を通い合わせたりする人が一人もなく寂しいこと、だそうです。…だいぶネガティブな定義です。
私としては「孤独」とは悪いだけではなく、良い側面もあると考えています。「孤独」であるからこそ成長できる部分もあるからです。
寂しい時は友達と会って、孤独になりたい時は孤独になって、が出来るいいバランスを作れるといいですよね。
「孤独」になった体験
個人的なストーリーで言うと、「孤独」を特に感じたのは、「外国人」になった時でした。
①高校時代、カナダ1週間とアメリカ1ヶ月でホームステイをしたとき
②大学時代、イギリスに1年間留学したとき
正直、日本を離れて外国人として過ごす時間は辛く、しんどい時間もありました。外国人の友達を作りたい!と意気込んではいたものの、当時は英語をぺらぺら喋れるわけではないし、いろんな人に話しかける勇気もなく、部屋に篭ってmixiやskype、FacebookなどSNSで日本人の友達との時間に逃げることも多々ありました。直接的な差別を受けたような経験は私はありませんが、「孤独」を多く感じていました。
でも、せっかくだから、と少しの勇気と挑戦心を持って、踏み出してみると意外と受け入れてもらえる経験もしました。大学時代のイギリス留学中に仲良くなったドイツ人の友達とは今でも交流が続いており、2019年にはドイツ・ハノーファーまで行き、彼の結婚式に出席しました。
のちに、私自身、外国人になる経験をしたことは非常に貴重な経験であると言うことを知りました。野球の本場米国のメジャーリーグで活躍したイチロー選手も自身が外国人になった経験を語っています。以下、イチロー選手の引退会見の一部です。
「アメリカに来て、メジャーリーグに来て、外国人になったこと、アメリカでは僕は外国人ですから。このことは、外国人になったことで人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分が現れたんですよね。この体験というのは、本を読んだり、情報を取ることができたとしても、体験しないと自分の中からは生まれないので。
孤独を感じて苦しんだこと、多々ありました。ありましたけど、その体験は未来の自分にとって大きな支えになるんだろうと今は思います。だから、つらいこと、しんどいことから逃げたいというのは当然のことなんですけど、でもエネルギーのある元気のある時にそれに立ち向かっていく。そのことはすごく人として重要なことではないかと感じています」
私自身も外国人になることで「孤独」というものが辛いことというのも分かったとともに、振り返った今だからこそわかることですが、外国人になることでマイノリティになったという経験が大きかったです。
日本という国は、自分たちは当たり前のように暮らしている土地ですが、外国人の方々にとっては知らない土地です。
私自身が、マイノリティにとって違う社会に溶け込むことは難しいなぁと体験したことによって、まずは愛媛に住む外国人のサポートもできればと考え、彼らが一歩踏み出す場があれば良いと考え、たてヨコ愛媛インターナショナルというプロジェクトがあります。
コロナ渦の影響で私は愛媛になかなか行けていないこともあり、具体的な活動はまだまだ考えられていないですが、深く取り組んでいきたいです。
会社での「孤独」
私はアトツギという形で今勤めている株式会社ダイキアクシスに入りました。祖父や父が会社の代表を務めていたこともあり、小さい頃から未来の社長やな~的なことを言われていたのを、思い出します。
2019年に取締役という立場になってから、役職や報酬に見合うものを100%出し切れているかと言うと、自分としては??で、正直「孤独」を感じることがあります。役割を果たすための見合った知識や経験を持っているか自信が無く、社員のみなさんが求めていることに応えられているかということが分からないからです。
私は取締役という役職についた初めの時は、役員だから〇〇しないと、役員だから〇〇すべき、と決めつけてしまい、何が正しくて何が間違いなのか悩むことも多かったです。ただ悩んで立ち止まっていても何も生み出さないし、誰も教えてはくれないと思い、一歩踏み出して社内外問わず人に相談したり、勉強したり、行動を起こすことを実践しました。
”課題を共有して、ともに解決を目指してくれる人。寄り添ってくれる人。そういう人が増えていくことで、人は孤独感から解放されていくのだと思う。そして、最初は怖くても「困ってる」と伝えることで、人の意外なやさしさに気づけることはとても多い。”
CoachEd / cotree 代表取締役 櫻本真里さん
https://note.com/marisakura/n/n4615d36d2789
櫻本さんの言う通り、さらけだすことで心が晴れる経験を多くしました。そして、サポートをしていただける方々がいることに感謝しています。
「孤独」を感じること、は経営者に限らず誰にも当てはまることだと思います。一人で悩んで苦しむことよりも、誰かに相談してみる行動に移すことが重要であると自身の経験から私も言うことが出来ます。相談する相手がいなければ、たてヨコ愛媛で見つけ出すということもできると思います。
コラムを書けば、いいね!とかポジティブな意見をくれる方々がいて、プロジェクトに参加すれば一緒にやろう!と行動してくれる人がいて、たてヨコ愛媛はこういった温かい心を持つコミュニティだなと思います。
これからの「孤独」
2020年の大変化、コロナウイルスというトリガーによって世の中が大変化しました。コロナ渦の外出自粛、失業、休校など様々な要因で孤独が増えていると言います。
外の国を見ると、なんと人々の孤独を解決するためにイギリスでは孤独担当大臣が2018年に設立されたそう。日本でも孤独担当大臣を設置する(!?)ために政府内で議論が交わされているなどと報道も出ています。
そんな大臣が設置されても、人々の孤独は解消されないだろうと思ってしまうのが、個人的な意見です。
20年前を振り返ればスマホなんて便利な機械はなかったですが、今となっては世界中どこにいてもコミュニケーションがとれてしまいます。遠く離れた人やどこにいるか分からない人の情報を得ることに囚われすぎて、近くの人に関心がなくなってしまった側面もあるのではと推測します。この先、便利が発達するデータ×AI時代において、大切なことは人の温かみをどれだけ残せるのか、ということも一つ重要なことと思っています。
日本という国が”「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ”(「サラダ記念日」俵万智さん)的な国であって欲しいし、愛媛県産には愛がある的なあたたかみのある地域になり続けて欲しいと思います。そのためのたてヨコ愛媛コミュニティであって欲しいです。
”本当の「つながり」は、自分とつながること”
これはまさに今の時代のキーワードだと思います。私は、「孤独」を増やし続けている今回のコロナウィルスがわれわれに問いかけているメッセージはこれだと思っています。コロナ前も「つながり」が社会における大きなキーワードではありましたが、コロナにより強制的に「つながる」ことを物理的に遮断される環境が強いられています。
それにより苦しい立場、状況になっている方々もいらっしゃいますが、その中で「今、何につながることが大切なのか?」を真剣に皆が向き合っています。
しのぴーさんは孤独さ寂しさを癒すため愛を需めて、たてヨコンカツをしてみたり(みなさん、しのぴーさんに幸せを!!)、テイトさんたちとは愛媛にいる外国人の孤独を癒すために、たてヨコ愛媛インターナショナルを立ち上げてみたり、たてヨコ愛媛は孤独を癒すコミュニティだとも言えます。
そんな愛媛県や松山市に孤独担当課などチームが立ち上がってしまうという悲しいできことが起こらないように、愛のある温かみのある地域に、コミュニティにするために、みんなでたてヨコに取り組んでいきたいです!
『僕はこの世界に左足から登場した。』
「サラバ」西加奈子さん
今回のコロナウイルスの影響を、改めて世界や社会の生まれ変わりととらえよう、という一文です。人はみんな一人で生まれてきますが、周りをみればたくさんのサポーターがいます。
本コラム一行目、この見出し文は西加奈子さんの小説「サラバ」の一行目です。「孤独」を多く感じる生活の中、「サラバ」は生きること、信じること、愛することの素晴らしさを感じることができる小説でした。気になる方は是非ご一読を。
株式会社ダイキアクシスの大亀でした。
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