
はーい!いまからデザインの抜き打ちテストをします!
ええー!テストぉー!?
おっちゃん学校の美術とか全然あかんかったんやで。
大丈夫!そもそも学校の美術はデザインじゃないし、絵心不要でサクっとできる、画期的なデザインテストを考えたねん。さっき。
思いつきかい
なまじ絵が上手い人より、相手の気持ち考えるの得意なおっちゃんの方が良いの作るかも
そんなっ…おだてたって何にも出ないんだからねッ!
問題はよ!
これから「2つのお題」を出すので、あるものをつくってください。
冒頭のとおり「絵心」は不要です。
※2つのテストが面倒だよって方は結論までスキップしていただいてOKです。
2つのお題でつくる「あるもの」は
地図
です。
1枚目の地図:ある目的地の周辺地図
3つ要件を出します。
3つの要件
- 目的地はどこでもOK。あなたがよく知ってる場所が良いですね
- 道具は何でもOKです。紙とペンでも、ホワイトボードでも、パソコンでも。
- 時間は5分。短いです。
目的地は、たてヨコ愛媛でよく使わせてもらうサイボウズ松山オフィスにするわ
よし。心の準備もできたね
よーい、スタート!
チッチッチ…
…1分経過。
チッチッチ…
………3分経過。
チッチッチ…
……………はーい5分!
どう?できた?
ふっふっふ。おっちゃん天才やからな。
「絵心不要」をヒントに2分で作ったで!

おー…。なるほど。
期待してた地図とは違ったけど、これはこれで間違いではないよね。
下手に無理して迷子になる地図をつくるより確実。
ひねくれた答えにしたつもりやったけど前向きな解釈!
あくまで「デザインのテスト」やからね。
お題は「ある目的地の周辺地図」であって「絵としての地図」とは言ってない。提示した要件を満たしてる。
絵は描けないけどパソコンは使えるっていうおっちゃんの策としてもアリと考えて良いと思う。
ただ惜しいなーと思うところもある。
ほう。惜しいのどこ?
惜しいのは、画面で見せたり紙に印刷して「使ってもらう状況」も考えておくと良かったなって。例えばQRコードもつけておくとか。
場所の名前とURLだけドンだと「これは何?」ってなるかもしれない。一応「地図」って書いてるし、察しの良い人ならわかるかもやけど。
確かに!
実際に使うシーンはイメージしてなかったわ
5分という時間なので、絵や見た目といった作品としての地図のディティールにこだわる時間は無かったと思います。また「伝わるか」だけでなく「どう使われるか」を想像することで「地図はあくまで道具」という本質に立ち返ることができます。
じゃぁ1つめの地図で見えた教訓を活かして、次の地図いこか。
2枚目の地図:道案内の地図
道案内の地図?そんなんさっきのGoogleMapでほぼ完成やがな
まぁまぁ。
この要素加えたら1枚目との違いが出るからやってみて
2枚目の地図に加える要件
- 自分にとって大切な誰かを思い浮かべ、その人のための地図をつくってください。
- その人は遠方から来るので、到着地点から目的地までのルートを示してください。
- その人が街を好きになってもらえるように工夫をしてください。
- 時間は10分〜30分
オッケー!
2つめは「誰か」に向けた道案内ってのがポイントやな
理解早くて助かるわ。
ほんじゃスタート!
・
:
︙
︙
:
・
―30分経過―
どう?できた?
イメージした人が街歩き好きな人やから、あちこち回り道できるような地図にしたったわ
昼飲みスポットが載ってる
最高やろ。目的地に到着する頃には完成しとる仕掛けやで。
思うと、1枚目は単に「周辺地図をつくる」やから、文字通り地図をつくるのが目的になってたんやな
うんうん
2つめの地図は使う人の顔が分かっとるからか全く別物になったわ。自分でもびっくりやで
そう!体験してもらいたかったのはまさにそこ!
よくある「40代男性」みたいなぼやけたターゲットじゃなく、使う人の解像度が高いとつくるデザインが全く変わってくるでしょ?
コラム通り地図をつくってみた方はどんなアウトプットができましたか?
結論:このテストで伝えたかったこと
2つのデザインテストの手順を図にするとこんな感じです。
1つめのテスト=作ることを優先すると

WhatからHowで概ね地図ができて、そのあとWho(誰のため)を考える手順だと、まぁ勘が当たるならいいけど、最悪最初からやり直しになっちゃいます。
2つめのテスト=「誰」を最初に立てると

2つめの地図には、仕掛けとして「喜んでもらうには?」といった要素を加えたことで、最初に「Who」を立たせることで「どんな地図にしようか」とアイデアが絞りやすくなったのではないでしょうか。
そして、この回りくどいテストを通じてお伝えしたかったのは2つ。
- いきなり作り始めるとデザインがブレる
- 「誰のため?」「どう喜んでもらう?」をイメージするとデザインの軸足がブレにくい
実は、2021年のコラム「「デザイン」ってなんだろう?という退屈な話。」や、2023年の「穴とドリルと私」では、散々「デザインにはWhyが必要だー!」とか書いてました。
そこは否定しないんだけど、全部が全部、そんな高尚求められてもぶっちゃけしんどいし、毎回そこまで必要じゃない現実もあるなら、もうちょっと今どきっぽく誰でもできるライトなやり方もあるんじゃね?という怠惰な感情を肯定し「最終的にWhyも意味づけするなら、入口Whoでもよくね?…むしろWhoとHowを深掘ることでWhyも自ずと形成されてくるかも?」と結果オーライ思考で書いてみました。
もし、テストをスキップして結論だけ読んでいるという方は、ぜひテストをやってみて、黄色いおじさんと同じような1枚目と2枚目で全く違うものができて、デザインを身近に感じていただけたなら嬉しいです!