この土日には、大学入学共通テストがありましたね。
自分がセンター試験を受けたのがもう随分と昔になってしまい、その当時どんな思いを抱いたかなどの記憶がもう薄れてきてしまっています。
その代わりといってはなんですが、大学時代、センター試験当日とその前後が休講になることから、ふと思い立ってニューヨークに一人で旅行したことがあります。
…皆さん、お気づきですか?私が旅行したのは、センター試験当日とその前後です。
そう、2泊4日でニューヨークに一人で行ったのです。
現地の空港についたのが夕方17時、翌日は丸っと滞在したものの、翌々日の昼12時には空港を経ったので、とんでもないハードスケジュール。しかも「行こう」と思い立って手続きをしたのは出発の6日前。
後にも先にもこんな弾丸旅行は無いなぁ。若かったなぁ、自分。
とて、一人旅は(日本国内も含めて)これが初めてだったので、大きなトラブルは無かったものの、まあいくつか珍事件は起きました。今日はその思い出を2つ綴ろうと思います。
クレジットカードを紛失しかける
タイトルにしたらおおごとですね(笑)しかもこれ、初日の夜なんです。
何をしていたかというと、お土産を買おうと思ってNYの街を地図無しに歩き回っていたんです。適当に歩けばお土産屋さんもあるだろう、と。
丸1日動ける日に関しては事前に時間や行き方なども含めて結構ちゃんと調べて行ったのですが、初日はホテルに着く時間ももう19時頃だったので、夜ご飯のお店だけ決めて、それ以外はなるようになれ、と思っていたのです。
加えて、2泊しかしないし、と思いポケットWi-Fiも持って行かなかったので、よくまあ一人でそんなことしたな、と今でも自分が不思議です。
1軒目、ちょっと小さなお土産屋さん。いくつか買い物をして退店。
2軒目、あまりピンとくるものがなく、買い物をせずに退店。
3軒目、結構大きめのお土産屋さん。買い物カゴにたくさん詰めていざレジへ。
…カードが無い。
え?なんで?と慌ててカバンを探すも見当たらず。レジのお姉さんも怪訝な表情を浮かべ始めたので、とにかく会計を済ませようと、最小限しか持ってこなかった現金をほぼ全て使い果たして店外へ。

地図も無い、手掛かりは自分の記憶のみ。煌びやかな街の中を、自分が来た道を頑張って辿りながら、カードが落ちていないか血眼になって探す。とここで気付きました。
「私、1軒目でカード使ってから、持って帰ったっけ?」
そんなことある?と思いますよね(笑)私もそう思います。ただ、この旅のために初めて契約したクレジットカード。使ったのもこのお土産屋さんが初。お土産を買った高揚感でいろいろ抜けていたんですね…トホホ。
お店に到着。あまり多く人が来るお店じゃなかったのか、お兄さん2人が「また来たの!」と声をかけてくれました。
「すみません、私、クレジットカードをここに忘れていませんか?!」
一瞬でお兄さんたちの表情が曇りました。すぐさま母国語なのか私には聞き取れない言語で2人が会話をし始めました。知らない言葉が飛び交った瞬間、めちゃくちゃ怖くて血の気が引いたのを覚えています。すると…
「あったよ!」
あぁ~~~良かった~~~~~(泣)
私もカードを使い慣れていなかったけれど、どうもそのお店もカード支払いを受け付けたことがあまり無かったらしく、機械にカードを差しっぱなしのまま、私も店員さんも気付かずそのままだったようです。
(帰国後、お金抜かれてたら怖いと思い履歴を確認したところ、何も問題無かったので、本当に奇跡)
「ありがとう」「本当にありがとうございます」「良かった」と半泣きになりながら言いまくる私があまりにも不憫に見えたのか、「これ持って帰りな」とお兄さんたちがタダでマグカップをくれました。今でも大事に使っています。
皆さんもクレジットカードを使った後は必ず持って帰りましょう。(当たり前)

人生初めてのナンパ
なんだかロマンチックな話のように聞こえるかもしれませんが、そういうわけではありません(苦笑)
NY滞在2日目。この日の(いや、この旅の)メインイベントは、ブロードウェイでオペラ座の怪人を観劇すること。
旅行会社で「1階および2階席前方」という席区分だけ指定できて購入し、現地で座席チケットと交換してもらう、という流れでした。
いかんせんポケットWi-Fiを持って行かなかったので、事前にホテルから交換できる場所への行き方を綿密に調べ、その地図を文字に起こしてメモして行きました。
初めての舞台鑑賞に、チケットを買った後に本場のエッグベネディクトを食べることに、セントラルパークや自由の女神など有名な観光スポットに行くことに心躍らせながら、メモに従って順調に街を闊歩していきました。
…が、ここで問題発生。
「東に進む」
どっち?!?!それまでは「右折」などとメモしていたのに、1ヵ所だけ方角でメモしてしまっていたのです。
曇天のNY。太陽を目印にすることも出来ず、完全に迷子になってしまいました。

「お困りですか?」
後ろから(こんなことを言っては失礼ですが、アメコミに出てきそうな雰囲気の)ご老人が声をかけてくれました。
道に迷っていることと行き先を伝えると「以前の勤務先だ。一緒に行こうか?」と言ってくださいました。
ご老人のご厚意にありがたく甘えさせてもらい、たわいもない会話をしながら、あっという間に目的地の地下入口に到着しました。「ありがとうございました」とお礼を言い、建物に入ろうとした時、ご老人がこう言いました。
「この後の予定は?」
…ん?この後?なんでそんなことをこのタイミングで聞くの?と疑問に思いつつ「チケットを交換して、観光して、観劇する。ですが…」
「ぼくは今から仕事なんだけど、仕事が終わったら食事に行かないかい?どんな予定で観光するの?」
ご老人の口調や表情に、道案内をしてくれていた時とは何か違う雰囲気を感じ取り、一瞬で警戒モードに入りました。「あまり決めていないので、何時にどこにいるか、分からないんですが…」
「連絡先を交換すれば、どこにいてもぼくが迎えにいけるよね?」
おぉ、かなりグイグイ来る感じなのね。「一人でのんびり過ごしたいんですよね…」
「NYの街を気に入ったと言っていたよね。連絡先を交換すれば、君がまた旅行に来た時に会えるよね?」
何度か言葉のラリーを繰り返しているうちに、気付きました。私、このナンパの雰囲気の会話になってから一度も「NO」と言っていなかったんです。やんわり断ろうとする、日本人の特性が全開だったことに気付き、ようやく「No, thank you. 」と口に出しました。
ご老人もこの言葉を聞いてやっと諦めてくれました。
「わかったよ。良い旅にしてね。」
潔く諦めてくれたことにほっとしながら、お礼を改めて伝えてお辞儀をすると、私のお辞儀の真似をしながら
「君のような美しい瞳の女性に会ったのは初めてだったよ!」
と笑顔でウインクしながら去って行きました。
私の人生で初めてのナンパ。NYで、しかもご老人から。
稀有な状況と去り際の一言にうっすら寒気を感じながら、ようやく建物内へ。
いくつか手続きを経て、チケットを受け取りました。
その座席は、なんと、1階の最前列!
道に迷う異国から来た私を、ちゃんと目的地に送り届け、素晴らしい座席を授けてくれたあのご老人は、ひょっとしたら、ちょっと下心のある幸運の神様だったのかもしれません。

旅の思い出、ありますか?
私のNY珍道中をお読みいただき、ありがとうございました。
2件ともトラブルに発展しなかったことが何よりも良かったな、と思います。
とはいえ、ハプニングも旅の醍醐味。
是非、コメント等で、皆さんの旅の思い出をお聞かせください。

