Column

たてヨコラム

たてヨコメンバーによるフリーテーマのコラム

自分の世界観を知るための考察

感情を知ると世界の見方が変わる

人はそれぞれ自分の主観で物を見ている。

私は幼少期のトラウマのため、自分の感情を隠すことが多かった。しかし今は、少しずつだが自分の感情を出すことができていて、今の方が人と楽につながれている。そこで感情について知りたくなり、たくさんの人とお話することや本を読むこと、さらには様々な講座を受け始めた。そこで感じたのが、人は自分の主観で物を見ているということだ。お互いに他人を尊重するためにはどうしたらいいのだろうか。もしかして、ここを掘り下げることで生きやすくなるのかもしれない。

これはあくまで私個人の思考の一端だが、せっかくの機会なのでここで共有することで、誰かのヒントにならないだろうか。それを期待して書いてみたい。

たとえば「ここに水の入ったコップがあります。これを見てどう思いますか?」こう聞かれたらどう考えるだろうか。答えとしては多い少ない等が考えられるが、答えを出す際頭の中ではいろんなことを人は考えている。なんでそんなことを聞くのだろうとか、きっちり測ってみないとわからないと考えているかもしれないし、あの有名な話ねと考えているかもしれない。のどが渇いた、ビールが飲みたいと考えているかもしれない。

一つの物事から何を見て何を感じるかは、ひとそれぞれ変わってくる。人は他人に関係なく自分の見たい世界を見ているのではないか。自分はどのように世界を認識しているのか、主観とはどのようなものなのか。そこを知ると自分の世界の見方も変わるのではないか

そこから私が考えたアプローチのうち二つをここに投じてみたい。

脳と感情の関係

by pixabay

一つ目は頭の中がどのような仕組みなのかというアプローチ。

感情や考えは脳が情報を受け取った結果生じたものだ、と考えると、脳でどのような処理がなされているのか、そこに何かヒントがあるかもしれない。調べていくうちに、感情までもが推論だという考え方にはびっくりした。そんな見方があるの?!衝撃的。

そう考えると、確かにしっくりくる。それまでの経験値や、何に対して報酬が与えられたか、何に制限があったかといったそれまで育ってきた環境によって、考えるときの材料をどのように集めるかが変わり、どんな情報を集めたかで推論の結果が変わるとすると、選択肢はたくさんあり、その分結論もたくさんある。

どのような選択肢があって、どのような結果を得たいかを知るといったものの見方をたくさん知ることで、自分の見方を変えられる可能性がありそうだ。

感情とは

by pixabay

次に考えたのは感情についてのアプローチ。

感情には、基本として「喜び・信頼・恐れ・驚き・悲しみ・嫌悪・怒り・期待」の8つがあり、この中でもそれぞれの感情が結びついてさらに多くの感情が存在している、という考え方がある。

自分の怒りの原因は何なのか、不安の原因は何なのかを考える場合、それを理解して受け止めて、さらに次の行動を起こすためには、その感情の奥にどんな感情があるのか。多くの考えがある可能性があることを知り、それが何なのかを探ることで、解決方法や感情のコントロールまでも考えられるのではないだろうか。

そもそも感情とは何のために存在しているのか。生き残るために必要だったからでは。

例えば不安を感じるのは、その状況に合わせてすぐ逃げられるように、体が逃げる準備をする必要があったから。怖い時にちょっとした音にも驚くのは、状況を判断するために、より多くの情報を得られるよう普段より感覚が鋭敏になるから。安心と感じると気が緩むのは、逃げる必要性がないと状況を判断したからとも考えられる。

身体の状態と感情が大きく結びついているとしたら、さらに複雑になる。内臓の状態の推測も感情に影響するとなると、今自分の抱いている感情は、自分の身体の状態が原因なのか、外からの情報が原因なのか、とらえ方次第で原因自体を勘違いする可能性まである。原因を考える材料として、自分の身体の状態と感情の関係とが、どういう状態になりやすいかを観察すると、感情をより深くつかめるのかもしれない。

こうして考えていくうちに、私は他人にはどんな世界が見えているのか、そこに興味が湧いてきている。

あなたにはどんな世界が見えているのだろう。

まとめ

この思考は、そもそも人から見た自分と、自分の考えている自分像に乖離があるのは、自分がどういう時にどういう感情を外に出しているかで印象が決まっているのかもと考え始めたことから始まりました。人と対話をしたり、とにかく主観を一度疑ってみることで、私は生きづらさから解放されつつあります。自分が主観にとらわれるのではなく、客観的に見られるようになりつつあり、本当に良かった。

by pixabay

最後に今回かなり参考にした文献の一部を下記に記します。ご興味が湧けばぜひ。 

書籍

  • 佐渡島庸平、石川善樹(2021年)『感情は、すぐに脳をジャックする』学研プラス
  • 乾敏郎、阪口豊(2020年)『脳の大統一理論: 自由エネルギー原理とはなにか』岩波書店
  • 櫻井武(2018年)『「こころ」はいかにして生まれるのか: 最新脳科学で解き明かす「情動」』講談社

 Podcast番組 

深井龍之介、野村高文『a scope~リベラルアーツで世界を見る目が変わる~』

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石川 水緒
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