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たてヨコラム

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SDGsライフスタイル

いま、路面電車が熱い!?

路面電車、普段使っていますか?

愛媛だと松山市の中心部で走っている路面電車。これが今、世界中で大きなブームになっています。いま路面電車が熱い理由、紹介させていただきます!

写真は富山駅の路面電車のりば

路面電車のいいところ5点

(1)すぐ乗れる!

何よりもまずこれです。路面電車は他の鉄道と違って、横断歩道を渡れば(場合によっては渡らなくても)すぐに電車に乗れます。ホームまで階段を上り下りする必要がありません。最新の電車は車内の段差もなく、高齢者に優しく、子育て世代も利用しやすい、現代にぴったりな乗り物なんです。

(2)環境にやさしい!

自家用車と違って排気ガスを出しませんし、渋滞もしません。鉄道は、1人あたりのCO2排出量が自家用車の約1/5*とも言われています。企業が従業員の通勤手段を自家用車から路面電車に切り替えるだけで、相当量のCO2削減、ひいてはSDGsの取り組みにも繋がります(*国交省HP

(3)健康にもいい!

自家用車だと家から目的地までドアツードアです。便利ではありますが全く歩きません。一方、路面電車(公共交通)の場合、「家から駅まで、駅から目的地まで」無意識のうち歩いています。事実、電車やバスの便利な大都市ほど一日の一人当たり平均歩数が多く*、この日々の運動量の違いが肥満度や健康寿命にも影響を与えていると言われています。(*谷口など)

(4)街のシンボルになる!

松山城と坊ちゃん列車が一緒に写っている写真、観光ガイドブック等でもよく見かけますよね。松山だけでなく、路面電車は国内外問わず色んな場所で街のシンボルになっています。街並みと調和するデザインにするために、路面電車の色や形、停留所のデザインまで、デザイナーと市民が一緒になって考えることもよくあります。

(5)街の活性化につながる!

自家用車で遊びに行くとなると広い駐車場がある場所の方がいいですよね。行先は郊外のショッピングセンターになりがちです。一方、路面電車は街のど真ん中が電停なので、中心市街地に自然と人が集まってきます。お酒も飲んで帰れますし、駐車料金も掛かりませんから、中心市街地での滞在時間や消費金額も伸びる傾向にあると言われています。

海外でどんどん増えている路面電車

海外では今、新しい路面電車が次々に作られています。ヨーロッパの地方都市では、「こんな便利な乗り物なんだから、自分たちの家や会社の近くにも欲しい!」と要望する住民や企業も多いようです。もともと走っている路面電車を郊外へ延伸するだけでなく、これまで走っていなかった路面電車を新しく作った街や、一度廃止になった路面電車を復活させた街も沢山あります。

日本でも、栃木県宇都宮市で新しい路面電車(LRT)を作る工事が今まさに進んでいます。宇都宮市の人口は松山市と同程度ですが、これまで路面電車は走っていませんでした。しかし、人口減少下でも全ての世代が安心して暮らせる街はどうあるべきかを考えた結果、新しく路面電車を作ることにしたのです。(HPで詳しく解説されているのでご覧ください)

空港へのアクセス手段としても当たり前のようになってきていて、ほんの一例ですが1998年にブレーメン(ドイツ)、2009年にシアトル(アメリカ)、2014年にはエディンバラ(イギリス)など、多くの都市で空港まで乗り入れる路面電車が開業しています。知らない街でバスに乗るのはハードルが高いですし、飛行機には乗り遅れることもできないので、時間に正確な路面電車があれば観光にも便利ですよね。(松山空港にも路面電車が乗り入れる計画はありますが、現在のところ事業化には至っていません)

空港ターミナルの目の前に路面電車の駅があるブレーメン空港(Open Street Map)

どんな街に住みたいか?

日本で路面電車を新しく作るとなると、何かと「採算性」が強調されがちです。

もちろん誰も使わない路面電車を作っても仕方ありませんが、海外では採算性が期待できなくても(鉄道事業者としては赤字でも)、路面電車は市民の生活に必要なものとして、税金で作っている街も多いです。道路や公園の整備、ごみ収集などと同じですね。使いやすいように工夫されているので、赤字でも電車の利用者が多く、市民の満足度も大きかったりします。

皆さんが今住んでいる街で、将来どんな生活をしたいか、どんな街に住みたいか、そんな大きな絵を描いたとき、その街にはどんな乗り物が走っているでしょうか。速くて格好いい乗り物、ゆっくりで可愛い乗り物、空飛ぶ乗り物、そもそも移動しなくなる?・・・いろんなアイディアがあるかと思います。

そんなとき、選択肢の一つとして路面電車、ぜひ皆さんも考えてみてください!

ABOUT ME
酒井 聡佑
1991年松山市生まれ。九州大学在学中の2011年に九州新幹線が全線開業。「なぜこの感動を四国では味わえないんだろう」という率直な疑問から、「四国の困っていることは新幹線で大概解決できるのではないか」と考えるに至り、以後ライフワークは四国新幹線。京大大学院で都市政策・交通政策を学んだ後、2016年国土交通省入省。主に道路計画の仕事をしています。
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