Column

たてヨコラム

たてヨコメンバーによるフリーテーマのコラム

読み書き障害(ディスレクシア)を知っていますか?

はじめまして。

言語聴覚士・公認心理師の吉松です。

たてよこコラム初投稿にあたり
何を書こうか迷いましたが
ぜひ多くの方に知って欲しい
また知っていることが応援になると考え
読み書き障害(ディスレクシア)について書くことにしました。

読み書き障害(ディスレクシア)とは

ディスレクシアは、学習障害のひとつのタイプとされ
全体的な発達には遅れはないのに文字の読み書きに限定した困難があり
そのことによって学業不振が現れたり、二次的な学校不適応などが生じる疾患です。

日本での読み書き障害(ディスレクシア)の割合は5~8パーセントと言われています。

学校で考えるとクラスに2~3人はいることになります。

決して少ない人数ではありません。

読めるけど
書けるけど・・・

クラスに字が読めなかったり、書けなかったりした子って、そんなにいたっけ?と思うかもしれません。

ディスレクシアだからといって、まったく読めない、書けないということはほとんどありません。

多くの場合、読めますし、書けます。

けれども、読んだり書いたりする速度が遅かったり間違いが多かったり、字形が崩れていたり・・・

コミュニケーションやスポーツは問題なくできるのに

音読がたどたどしかったり、板書を写すのが遅くて、いつも先生に注意されたり

なぜか勉強だけが極端に苦手な子、あなたの側にもいませんでしたか?

「読み書き計算」は努力の賜物とはならない子どもがいる

日本の学校では今でも「読み書き計算」が学習の基礎といわれ

宿題の三種の神器は「音読」「文字のけいこ」「算数ドリル」です。

また授業の多くの場面で教科書を読んだり、板書を素早くきれいに写すことが求められます。

それらをこなすために
他の子どもの何倍もの労力を使わなければならないディスレクシアの子どもたちは

好奇心を働かせたり、思考を深めたり、理論を理解したりといった

本来の「学び」の力を発揮できないでいるのです。

学校とICT機器

たてよこメンバーのみなさんをはじめ、現在の大人社会では
ICT機器がないと仕事にならない方たちが圧倒的多数だと思います。

しかし日本の教育現場は、まだまだ手書き至上主義です。

よって学校、特に小中学校に個人のICT機器を持ち込むことは今でも極めてハードルが高いです。

あれ?そういえば小中学校は一人一台タブレット端末が導入されたんじゃないの?と思われた方
学校に導入されたタブレット端末は個人用にカスタマイズすることは基本的にできません。

よってディスレクシアの子どもたちが本当に必要とする機能が備わっていないのが実情です。

多くの人に読み書き障害(ディスレクシア)の存在を知って欲しい

弱視の子どもに「メガネはみんながかけてないから認めない」とか
難聴の子に「補聴器は高価なものだし、みんなが使ってないから、学校で使用してはダメ」とは
言わないでしょう。

しかし、日本ではすでに障害者差別解消法という法律や学習指導要領において
ディスレクシアがある子どもに対しても
ICT機器などを活用して学ぶことを許可する義務があるにも関わらず
ディスレクシアの子どもが学校で
「筆記用具としてICT機器を使いたい」と言っても
「はいどうぞ」とならないのが現実です。なぜでしょう?

視力や聴力の低下は数字で表すことができ、想像がしやすいですが
いろんなことが普通にできるのに、字が読みにくい、書きにくいといった状況は想像しづらく
本人の努力不足であると考えられがちだからです。

実はディスレクシアでありながら
それに気づいていない本人もそのように考えていることが多く

「みんなが普通にできること(読んだり書いたりすること)ができないのは
自分の努力不足だったり、自分が頭が悪いからだ」

と自分を責めたり悩んだりしているケースも多くあるのです。

たてよこメンバーの方にお願い

たてよこメンバーの方の中には
ICT機器を使いこなしてお仕事をしていらっしゃる方も多いと思います。

そのお力を何かの機会の時には、ぜひディスレクシアの子どもたちのためにお貸しいただけないでしょうか?

ディスレクシアの子どもたちが苦労している
「読むこと」や「書くこと」が少しでも楽になるような
ICT機器の使い方を学べる機会を作れたらいいなと思っています。

また、みなさんの周りにも
読んだり書いたりすることに苦手さを感じている人がいるかもしれません。

長い文章を読んだり書いたりするのが苦手な方がいた場合
さりげなく内容を要約して伝えたり、書くことのお手伝いをしていただけると
うれしく思います。

ABOUT ME
吉松 朝恵
はじめまして。 これまで、福祉、教育分野でスペシャルエデュケーションに関する仕事をしてきました。 子どもたちの笑顔が、何よりの活力です。読み書きに困難を抱える子どもたちの力になりたいと考えています。
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