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たてヨコラム

たてヨコメンバーによるフリーテーマのコラム

スタートアップビジネス事業

「パパの幸せって何なん?」

はじまり

子どもは、時に情け容赦ない質問をしてきますよね。数年前、息子から「パパの幸せって何なん?」と不意に聞かれ、ほぼフリーズ状態に陥りながら、何とかフワっとした回答を捻り出したものの、まさかの追加質問に「それは…」となってしまい撃沈した自分… 今でもはっきり思い出すことができます。

おそらく保育園の課題か何かで、息子としては何気なく聞いた質問だったと思います。ただ、当時の私にはすごく刺さりました。

  • 息子:「パパの幸せって何なん?」
  • 私 :「うーん… 真之(息子の名前)とかママが幸せなら、それがいいかな。」
  • 息子:「パパの幸せは?」
  • 私 :「それは…(この後は、完全にごまかしタイムでした。)」

「パパの幸せは?」息子によるこの追加質問、これが本当にぐさっと刺さりました。「自分の幸せを答えられないって、なんだろうこれは。仕事や日常におけるリスク・不安・ストレスみたいなものであればいくらでも言葉にできるのに、幸せはなぜか言葉にできない。ましてや自分の幸せを言葉にするとなると、余計に難しい…」頭の中でそんなことを考えていた記憶があります。

みなさんは自分の幸せ、しっかり言葉で表せますか?

目の前の小さな巨人に完全に詰め寄られ、何とも言えない微妙な表情で見つめられる中、「自分の幸せを答えられないって、じゃあ何が楽しくって生きてるのさ、あんたは。」という吹き出しが、我が子から出ているのをただただ感じる。そんな瞬間でしたこの時は。完全にうろたえました。

「自分の幸せについてほとんど言葉にできず、ただ何となく漠然と時間を過ごしているだけの自分が、今の自分なのか?もしかして。」としばらく自問自答したことも鮮明に覚えています。

それから数年後

宇和島に本社を置く企業にて、人事と経営のお手伝いをさせていただいている私ですが、こんなことを考えるようになりました。人は変わるものです。

時代の潮流や働き方改革の流れに合わせ、僕は人事として、会社・社員の持続的成長のために様々な取り組みを行ってきた。基本的な枠組みの構築(法改正対応)はもちろん、そこから派生する応用的な施策(労働生産性を上げるための工夫)まで自分なりに。

結果として一定の効果はあったと思う。会社・社員の活力が全体的に少し上がった気がした。売り上げが増え、風通しが良くなり、社員同士の建設的な会話も増えた。会社・社員それぞれの成長が始まった気がした。

でもそれは根元からの本質的な変化ではなかった。表面上・部分的・短期的な効果で終わってしまった。そして施策の頭打ち….

悩み始めた頃にコロナ禍。よって、元々の悩みを解決したところで、根本的な解決にはならない状況。元々の悩みと、コロナ禍で新たに出現した問題、そしてこれからじわじわ出てくる後発問題、まずはこの3つが重なるところをしっかり見定めなければならない。その上で、会社・社員の持続的成長を支える新たな取り組みについて改めて考え(大袈裟に言えばセロベースで考え直し)、これからの歩みを進めなければならない。

ほぼリセットレベル…. そして目の前にあるのはこれまでとは異なる環境….これは、僕が今いる地方の小さな会社でも例外ではない、今回ばかりは。

であればもう吹っ切れよう。ちまちましたことや小難しいことは一旦脇に置いておこう。実際はまっさらにはできないが、それを想像して考えてみた。

「土台から。」

びっくりするくらい当たり前の答えが出た。会社の土台は「社員」だと思う。社員の土台はそれぞれの「幸せ」だと思う。「幸せになりたい。幸せでいたい。」そう願わない社員はほとんどいないと思う。そしてよく考えれば、その願いは永続的なもの。幸せを願う気持ちは、土台で、ほぼ全員対象で、永続的なもの。(もちろん幸せの内容は人それぞれ違うが。)

こんな核心的なアプローチ先を、僕はなぜ放って置いたのだろう… 会社・社員の持続的成長を支える新たな取り組みを、この核心部分から始めれば、それは時代や状況に関係なく、今度こそ根元からの本質的な変化につながるはずだ。

という気づきがあり、僕は社員の幸せについて考えるようになった。もちろん実際は、「こんな核心的なアプローチ先を、僕はなぜ放って置いたのだろう… 」の答えを知っている。幸せは抽象的な概念であるため、数値等で具体的に捉えることができないとあきらめていたからだ。要は、重要かつ本質と分かってはいたものの、付き合う自信がなかったのだ。

でも今は一周回って思う。僕は社員の幸せについて考えるようになった。そして今後は、幸せへの支援を起点に、会社・社員の持続的成長を支えたい。逃げることなく。

(引用:僕が「社員の幸せ」について考えるようになった訳 – note)

「いやいや、昔、息子に詰められてたやん、幸せ関係。」というツッコミは完全に無視します(笑)当時からしばらく経って、皮肉にも「幸せ起点の人材開発・組織開発」に本気で取り組む私、さらにそれを事業として展開しようとする私が、数年後に現れることになりました。

幸せについて考え続けた結果、仲間(心理学の専門家3名)に出会い、多少の貢献(所属企業での人材開発・組織開発支援)ができ、ありがたい機会(現在の所属会社と兼業という形での起業機会)をいただく流れとなったのです。あの時の撃沈以降、幸せと向き合い続けた時間は、あながち無駄ではなかったのかもしれません。

何せあれから、心の片隅にずっと居座っていたので。幸せとかポジティブ心理学とかウェルビーイングというキーワード。点を打ちまくっていたら、線になり始めた。よく耳にするフレーズですが、まさにその感覚でした。

現在、そしてこれから

小さな巨人に詰められてからしばらくが経ち、現在の私は、出資者、学者3名とともに、株式会社 Three Fields Researchを立ち上げています。「WELL-BEING CHECK Plus 」というWebアプリを軸とした人材開発・組織開発プログラムを作り、まずはtoBサービスとしての一人前を目指して、プロダクトの中身を磨き続けています。

ちなみに「WELL-BEING CHECK Plus 」とは、こんなイメージのサービスです。

臨床心理学の視点から開発されたアセスメントをベースに、一人ひとりの幸せ・ウェルビーイングを視覚化・言語化するサービスです。個人の幸せを原動力に、チームの活性化、組織全体の生産性向上を実現する、これからの時代の「新たな成長戦略プログラム」です。

要は、「自分の幸せを知って、理解して、自分なりの進め方でマネジメントできるようになってみませんか?世間の正解・周囲から求められる成功・誰かの幸せではなく、自分の幸せも大切にしてみませんか?幸せマネジメントは、取り組んでみると結構面白いです。個人もチームも組織も、色んな気づきがあり、色んな面白いこと・プラスを体感することができます。」ここのお手伝いがしたい!そういうことです。

お互いの幸せやウェルビーイングをベースにした対話から、ゴールの共創、その中での役割分担の設定・更新をしっかり進めていくことで、「個人の自律と集団の調和の両立」を実現していくことも可能になると考えています。つまりは、これからの時代の個人・組織の持続的成長にとって、意外と蔑ろにすべきでない存在だと思うんです、自分の幸せやウェルビーイングって。そのことを少しでも多くの方々に知ってほしい。実際に体感してほしい。

最後、説明がかなり雑になりましたが、こんな感じのことをやっていきたいな、と考えているのが現在の私です。仲間と一緒に、会社のビジョン(「誰もが幸せを語れる世の中を」)を実現するため、試行錯誤を繰り返す時間が今の私の幸せの一つです。多くの個人・組織を巻き込みながら、それぞれの幸せと成長の両立を、新たな視点から支えていくお手伝いができることが、これからの私の幸せの一つです。

「パパの幸せって何なん?」

「これ(上記)が、パパの幸せかな。頑張ってみるわ。自律と調和の両立、個人と組織の持続的成長、この辺のお手伝いができるように。」

最後に

株式会社 Three Fields Researchは、愛媛県の企業としてスタートを切ることにしました。理由は単純で、愛媛が好きだからです。愛媛をもっと良くしたい。よって、まずは愛媛における自律と調和の両立、個人と組織の持続的成長をサポートするところから始められればなと思っています。

具体的に何からどう始めるかは、まだ思案中ですが、近いうちに本格的な動きを開始したいと思います。たてヨコ愛媛にも?とも?何かさせていただければと思っています。未熟極まりないスタートアップですが、精一杯もがいてみたいと思います。皆さま、これからどうぞよろしくお願いいたします!

ABOUT ME
兵頭 保之
人事:心のケア、キャリア開発支援、働く上での納得性の確保など、従業員に対する支援を行っています。併せて、人事戦略を効果的に実行するため、期待される人材像を構築し、組織の変革を仕掛けています。 新規事業:地方から、都内メンバーと連携し、新たなチャレンジを進めています。ポジティブ心理学関連です。社会全体に影響を与えるプロダクトを目指してます! 余談:クラフトビールとリバプール(サッカーチーム)が好きです。
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