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たてヨコラム

たてヨコメンバーによるフリーテーマのコラム

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人より一歩でも前をあゆめ 人並みのあゆみでは価値がない

みなさん、こんにちは!ダイキアクシスの大亀です!3回目のコラムです。

以前のコラムはこちらから。

1回目「腑に落ちる夢を見つけるということ」

2回目「「孤独」とは、良きパートナーである。」

久しぶりのコラムの執筆で非常に戸惑ってしまい、テーマ選定からすごく時間がかかってしまいました、、

まだまだ先の状況はわかりませんが、いよいよコロナも落ち着きを見せ、やっと対面のコミュニケーションが増えてきて嬉しく思っております。私も東京と愛媛を行ったり来たりできるようになりましたので、お会いしたことある人もまだお会いしたことない人も、ぜひまたみなさんとお会いできれば嬉しいです。

今回のテーマは「ファミリービジネス」です!

今回、私が「ファミリービジネス」をテーマに選んだ理由は大きく2つあります。

1つが私自身、ファミリービジネスの一員であるということと、2つ目が現在大学院に通っておりファミリービジネス学の面白さを知ったからです。

私はダイキアクシスという会社で働いております。父親が代表を勤めており、元々は祖父が創業した会社が起源となっている会社になります。また、私は現在大学院に通っており、いわゆるMBA(Master of Business Administration)修了を目指し、働きながら勉学に励んでおります。

コロナ前は出張が多く、国内海外合わせて月の半分は飛び回っている形だったのですが、コロナ渦において本を読んだり勉強をしたりする時間ができ、改めて学校で勉強してみたいと思うと同時に、MBAに関して以前から憧れがあった中で、働きながらMBAを取得できるコースがあると知り、今年の4月から2年間で修了するコースに通い始めました。

1年目は経営学全般の講義を受講、2年目はゼミに入り修士論文を書き上げて卒業という形になります。1年目は必修の講義がファイナンス、財務会計、人事、マーケティング、経営戦略、グローバル経営の科目になるので、幅広く経営学を学んでいます。その中でも私は事業承継予定者という立場にあるので、ファミリービジネス学に興味があり、あとは人材組織やアントレプレナー系に興味を持って授業を受けています。

ファミリービジネスって???

さて、本題に入ります。

みなさんはファミリービジネス、同族企業と聞いてどういうイメージを持たれますか?

ポジティブでしょうか?ネガティブでしょうか?

一般的に日本はメディアの影響が大きくあり、最近では家具屋の企業に代表されるように同族企業の同族間のトラブルが取り沙汰されるため、ファミリービジネスに対してネガティブな印象を持たれる方が多いと言われています。また、同族企業の事業承継においては、単に「親が事業をやっていたから社長になれた」ということで、“親の七光りでカッコ悪い”であったり、経営者としての能力を先代と子どもと比べた際に子ども世代の経営者としての能力が低い場合は”ボンクラ息子”などと思われたりする場合もあります。

しかし、世界的にファミリービジネス、同族企業の重要性や強さはすごく注目されており、ヨーロッパやアメリカのビジネススクールでもファミリービジネス専門の教授が研究して論文も頻繁に出され、体系化された「ファミリービジネス学」の理論として広まっています。ファミリービジネスが強い地域としては日本とイタリアなどのヨーロッパの一部で、日本以上に世界各国での注目度が高まっています。今後も研究がさらに進み、ビジネス理論として形作られていくことが予想されます。日本では事業承継問題で承継者が不在の企業が多くあることが問題視されていますが、家業を継ぐことがもっと重要視されるべきであり、そのためにもうまく事業承継ができるような方法や考え方が確立されていく必要があると思います。

日本全企業数約420万社のうち、97%が同族企業だと言うデータがあります。同族企業は「創業家一族が経営を支配している企業」として定義されますが(実際は複数の定義が混在)、日本で言うとトヨタ自動車(豊田家)、サントリー(鳥井・佐治家)、キッコーマン(茂木家)、キヤノン(御手洗家)、パナソニック(松下家)など、いずれもが日本経済をけん引してきた超優良企業で、同族企業に位置付けられる企業になります。

日本では星野リゾートの星野佳路代表がご自身でファミリービジネスについての研究をライフワークとして進められ、ファミリービジネスに関する書籍を複数出されています。私自身もファミリービジネス学については非常に興味があり、大学院での修士論文はファミリービジネスをテーマとして書こうと検討しています。

ファミリービジネスの強み

私はファミリービジネスの強みは大きく2つあると考えています。

ファミリービジネスの強さの一つは「30年に一度のビジネスモデル転換システムが組み込まれていること」です。つまり、上場している大手の非同族企業は経営トップの大胆な若返りが難しく、社長交代は普通、3~4年で年齢が同じような人に継いでいくため、本来やるべきイノベーションが遅れることがあります。一方、ファミリービジネスは、好むと好まざるとに関わらず、例えば30代で継いだ人が60代になったところ、30年間たったところで後継者である30代の息子などに引き継ぐため、大きなイノベーションが起こる可能性が高くなります。大企業でいえば、何十人抜きの大抜擢がされた人事のようなものです。約30年ごとのスパンで経営トップが一気に若返ることで、それまでのビジネスモデルが見直される機会が訪れます。ファミリービジネスで変わらず数百年好調を維持しているものはありますが、非ファミリーの上場企業で数百年も絶好調だった企業はそうありません。やはり、ファミリービジネスの強みは長期的な持続性であり、その長期的な持続性を担保する仕組みとして、30年に1度のタイミングで大イノベーションが起こることが一因だと言うことです。これは持続性が特徴のファミリービジネスにビルトインされた仕組みです。

もう一つの強みは、同族内においての資産、特に無形資産の承継です。ファミリービジネスの経営者は基本的に未来の世代のため、事業の永続化を目指します。永続化されることにより、知識や価値、社会的資本などの無形資産は代々受け継いでいくことによって強化されていく可能性が高くなります。そして、有形資産は無形資産によって作られるものであるため、無形資産が代々強化されることにより、より社会に貢献できる事業になり、社会により良いインパクトを残せることになります。スチュワードシップと言う未来の世代のために今の世代のファミリーは資産をいかに活用して強化し、繋いでいくかという考えを持って経営ができるかどうかがファミリービジネスの永続化において重要になってくると私は考えています。

理念、価値観の受け継ぎ

ファミリー、一族間の価値観および創業の精神を、ファミリービジネスの中でどう位置付け、受け継いでいくかが一番大事だと思います。個人的な話で言うと、私の祖父が元々は創業者であり、私は彼の価値観に共感し未来に繋いでいきたいという思いを持っています。

「人より一歩でも前をあゆめ 人並みのあゆみでは価値がない」

 この言葉は私の所属する株式会社ダイキアクシスグループの社訓の一つで、ダイキグループ創業者である今年3月に他界した私の祖父、大亀孝裕の言葉です。祖父は0からホームセンター事業を確立させ、愛媛県を代表するダイキグループを作り上げ、祖父の企業DNAを引き継ぎ、私が現在所属するダイキアクシスグループが存在しています。

祖父の作った社訓は5つあります。この社訓を一つの大事な価値観だと捉え、私は胸に深く刻んでいます。こういった考えをもとに事業に取り組んで、反映させ強化していきたいと考えています。

「一、人より一歩でも前をあゆめ 人並みのあゆみでは価値がない」

「二、常に計画を立て、スッテモ ムイデモ やり抜く粘り強さと実行力を持て」

「三、きのうと同じことを繰り返すまい 日々新たな工夫を重ね開拓の心をみがけ」

「四、誠意とは、じょうずなことばでも物でもない 血の通った温かい心である」

「五、健康なからだから、たくましい活力が生まれ やわらかい笑顔から美しい心が生まれる」

ファミリー企業の意義

今回は強みのポイントのみの記載になってしまったのですが、もちろんファミリービジネスの弱みや課題についても多く議論されているものがありますし、いかにうまくファミリービジネスを経営していくかという議論もたくさんあります。「オーナー企業」「同族会社」「同族経営」などと聞くと、遅れた会社のようにも見られる傾向がありますが、最近の研究結果では、非ファミリービジネスと比べてファミリービジネスの方が業績面でも優れていることが分かってきています。

ファミリービジネスが永続化を目指すことで『生物が多様性を尊ばれるように、ファミリービジネスは強い個性と地域性などの社会的資本がビジネス全体のエコシステムにとって生物の多様性と同様に尊ばれる』ということで、やはりファミリービジネスの強みは長期的な持続性であり、いかに将来の世代のために受け継いでいくかが重要であるということです。

なかなか皆さんにとっては馴染みのないトピックだったかもしれませんが、ファミリービジネス、同族経営は一つ確立された経営スタイルであることがお分かりいただけたら幸いです。

ダイキアクシスは東証一部上場会社なので、同族の一存でトップを決めるわけにはいきません。「ボンクラ息子」だと思われないように、日々精進する次第です。皆様からのご指導、ご鞭撻のほど何卒よろしくお願いいたします!

【告知】たてヨコラジオ出演決定!町田さんと色々とお話しする予定ですので、ぜひそちらもお聴きいただけると嬉しいです!ゆるーくやります。笑

大亀裕貴オオガメヒロキでした!

ABOUT ME
大亀 裕貴
愛媛県松山市出身。松山、スイス、東京育ち、たまに旅人。 早稲田大国際教養学部2016卒、早稲田大大学院経営管理研究科MBA2023修了。高校時代は3年間スイス、大学時代は1年間イギリス留学。旅行、仕事を通じて世界55カ国を訪問。 新卒で株式会社日立製作所、電力系事業部にて営業経験を積む。その後、株式会社ダイキアクシスに入社し、海外事業、採用教育、経営企画、IT企画、新規事業創出等、幅広い事業を統括する経験を経て、2024年から代表取締役社長就任。NPO法人DAIS理事や愛媛大学社会共創学部運営カウンシルを務め地方創生にも携わる。 『人間として成長しながら楽しく社会貢献&地域貢献』をモットーに生きる。
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