たてヨコ愛媛の皆さんでもお仕事で関わる事は少ないかもしれませんが、なんとなく聞いたことはあるかと思うWeb業界のキーワード「アクセス解析」。
一般的に使われるのはGoogleAnalytics(グーグルアナリティクス)というサービスで、簡単に言うとWebサイトに仕込んだタグを通じてユーザーの行動や端末の情報等をログとして記録し、Webサイトの健康診断的に活用するもので、Webサイトに関わったことがある方はレポート等も見られたことがあるかもしれません。
よく使われる指標としては以下。
- ユーザー数(スマホやPCなど端末の数とほぼ同じ。30日以内にアクセスすると「再訪問」の扱い)
- セッション数(訪問数。30分以上時間をあけると「別訪問」扱い)
- ページビュー(見られたページの総数)
- 平均ページビュー(「ページビュー÷セッション」の数。1回の訪問で何ページ見たか?)
- 平均セッション時間(1回の訪問でどのくらいの時間アクセスされているか)
- 平均ページ滞在時間(特定のページに対する滞在時間の平均値)
- 直帰率(1ページだけ見て帰ってしまった率)
- 離脱率(そのページでサイトへの訪問が切れた率)
他にも「デバイス(端末別アクセス)」や「アクセス元(検索やリンクで訪問しているか)」など、さまざまなデータを取得することができるので、Webサイトの課題発見や効果検証をする上でも非常に役に立っています。
さて、ここからはアクセス解析をお題にしながら、数字の読み方に関するお話をします。
数字が良い=良いWebサイト?
指標の中でも聞き覚えのある方は多いと思われる「ページビュー」。
わかりやすい数値の出し方としては「先月ページビューの多かったページトップ10」といったランキングかと思います。
ランキングというわかりやすい枠組みに当てはめると「ページビューが多い=ユーザーニーズが最も多いページ」あるいはサイト全体を見ると「ページビューが多い=人気のページ」「ページビューが増えた=ユーザーがたくさん見てくれている」と「良い」だけを解釈してしまう事があるかもしれません。
しかし「ページビューが多い=良い」なのか?単に数字の多い少ないで良し悪しは判断できないのでは?というのが、今回の記事のタイトルにもなっている「数字を情報と見るか、ストーリーを読むか。」のお話になります。
コンテンツの目的に照らし合わせる
あなたはA社の担当者としてWebサイトに関わっている、と仮定します。
(※そのほか数値もすべて話をわかりやすくするための架空のものです。念のため。)
A社ではたくさんの製品を取り扱っており、その企業サイトでは顧客満足度向上のために、製品マニュアルのダウンロードができる「サポートコンテンツ」を設置しています。製品マニュアルは、カテゴリやキーワード検索等から探すことができます。
それもこれも、全ては顧客満足度向上のため。
サポートコンテンツで先月のアクセスデータを確認したところ、ページビューが多かったTop5は以下のとおりでした。
- 検索結果一覧:3,200
- サポートコンテンツトップ:400
- 製品マニュアル詳細A:350
- カテゴリ 記事一覧:150
- 製品マニュアル詳細B:50
1位は圧倒的に「検索結果一覧」ですが、果たしてそれは「人気コンテンツ」だからなのでしょうか。
サポートコンテンツの目的は「顧客満足度向上」のため。と先述しているとおり、ユーザーに提供すべきなのは「目的の製品マニュアルへいかに早くユーザーを案内すること」だと考えると、検索結果にページビューが多く集まっているのは、ひょっとしたら「目的の製品はわかっている。マニュアルを入手したいが探し方がわからず、何度も検索結果ページを見ている」といったネガティブな心理に繋がるユーザー行動が裏側にあるとしたら?
少し複雑かもしれませんが、数字の多い少ないを良し悪しに直結するのは正解か?
という事がご理解いただけましたでしょうか。
数字にストーリーを見い出す
このように、アクセス解析には単に数字の多かった/少なかったを作業的にレポートにするのではなく、その数字の向こう側にあるユーザーの行動をイメージしたり、提供側とユーザー双方の目的を想定しながらストーリーを立て、それと数字の繋がりを想定する、という解釈の力を求められます。
これ、以前コラムにも書きましたリフレーミングの考え方も応用できたりします。
このように「数字を見る」行為は意外と文脈を読む能力を求められるため「実は数字が苦手」という人ほど「なるほどそういう見方もできるのか」といった面白い解釈を生み出すことができるかもしれない。と考えられそうです。