Column

たてヨコラム

たてヨコメンバーによるフリーテーマのコラム

エッセイビジネスライフスタイルデザイン

えひめから一歩も出ずに「芸術大学院生」になった話。

前記事を書いてくださった小松さん(記事はコチラ)は、ほんの約2か月前に愛媛県人になったとのこと。本記事を書いている岡田は全く真逆愛媛しか住んだことのない、愛媛の地に根っこが生えたガチ勢になります。

(あ、島根の血も混じっているからガチ勢ではないのか?※前回記事参照)

  

ただ、前回の記事で「私の出身大学は県外です」と、しなぁーっと書いています。

 

私はアラサーになってから社会人大学生になり、この春から大学院生になりました。


 

医療従事者が働きながら大学・大学院に進むこと自体はさほど珍しくないのですが、普通は医療系の専攻領域に進みます。

しかし、私が進んだ大学・大学院というのが
「大手前大学現代社会学部現代社会学科(兵庫県)」
京都芸術大学大学院 芸術研究科芸術環境専攻 修士課程 学際デザイン領域(京都府)」

というところ。

こちらの画像は新型コロナウイルス感染萬栄のために大学に遊びに行くことすら許されず、
一歩も足を踏み入れることなく卒業してしまった私に、あの山田さんが送ってくださった写真です♥

―・・・まぁ…前者は分かるとして、問題は後者ですよ。

ん?医療職やっているのに芸大( ˘•ω•˘ )?

ってなるわけじゃないですか。



「芸術大学」と聞いて、おそらく大半の方が

「医療機器開発のためにプロダクトデザインを学ぶのかな?」
「グラレコやっているから絵を学ぶのかな?」

と思われると思いますが…

実は、どちらでもありません

私がここで学ぶのは「広義のデザイン」かつ「学際的なデザイン」になります。

『医療にはデザインが足りない』

こちらのイベントでお話させていただいたことのプチ振り返りです。
私が耳タコLevelでお話している「医療に足りないデザイン」には多くの意味を持っています。

 

イベントで実際に使用したスライドを用いて説明いたしますと…。

 

医療に足りないデザインは、「見た目のデザイン(design)」だけでなく、UI/UXを意識した医療機器や材料などの「利用することを目的としたデザイン(Design)」や、問題解決プロセスの役割をも持つ「デザイン思考(DESIGN)」など、あらゆる視点での「デザイン」が足りません。

  

デザインで解決する医療問題って、実は意外と多いんですよね。

  

そもそも、「芸術(アート)」とは本来、学習して身に着けた知識や技術を差す言葉とされています。

 

ヒポクラテスが「医療はアートである」という言葉を残しているように、医療技術もまたそのひとつでした。

 

しかし、一般の社会人が「芸術」の意味の大半を「美術」として捉えているのと同じように、臨床医学は「科学(サイエンス)」であるという認識が強いのが現状です。

現代の医療は、治療選択の多様性や患者背景(超高齢化や合併症など)が複雑化しています。このことによって、医療従事者は自身らの専門技術習得に加えて、多様な情報処理能力が求められています。現代医療の複雑性に相まって、これらの「掛け合わせ」には「アート」的な技術が必要ですが、医療にはそのマインドや環境が不十分。 

その普及活動の一環として、私は広義のデザインをガチで学びたいと強く思ったわけです。

 

 で、「学際デザイン研究」ってなに?

京都芸術大学大学院の学際デザイン(Interdisciplinary Design Studies(IDS))領域では、「歴史」や「文化」、「伝統」を読み解きながら現代に結び付ける探求力や思考力を養いつつ、未来へ向けた現代的デザイン思考を学んでいます。

  

100枚以上の付箋を使って自分が描いているVisionを見つめなおしてみたり、気になったものを写真を撮って並べてみたり、歴史的文化財や街並み、建築をフィールドワークしながら振り返りつつ「伝統とはなにか」を再考したり、ひとつのテーマを決めて「日本の伝統文化となるために必要なこと」をグループワークしたり…。

 

 

これらを、愛媛にいながら、完全オンラインで講義を受け、今後の研究に向けたアカデミックスキルを養っています。ちなみにですが、新型コロナウイルスの影響があったからこのカタチが生まれたわけではありません。絶妙なタイミングで生まれた大学院なのです。

 

 

本大学院は設立2年目で100名近くの生徒がいます。

全国各地…いえ、国を超えた生徒(!)がいます。職種もバラバラで、公務員、サラリーマン、起業家、リタイア後のセカンドライフ、主婦、医師、弁護士etc..。

 

先輩はもちろん、同期も先生も個性豊かで、ディスカッションしだすと良い意味での「CHAOS」。基本的に学生主体での学び合いですが、異業種や異なる地域からの集まりなので、まだ入学して3ヶ月目ですが得られるものは本当に多いです。ディスカッションの大半はテキストベース(Workplaceを利用)ながらも、それがまた自分や同期の思考を外部化・視覚化していて良い刺激になっています。

 

…ん?

人材がCHAOS…

 

あれ?

この感じ・・・・たてヨコ愛媛に似ている…

 

テキストベースでの情報交換…。

 

あれ?

「たてヨコラム」も、同じのような…。

「たてヨコ愛媛」は、まさに「学際的コミュニティ」

学際」とは、複数の異なる学問や領野を複合的に関わることを差します。

この「たてヨコ愛媛」においても、個性豊か(すぎ)な人たちがたくさん集まっています。それこそ、公務員、サラリーマン、デザイナー、ライター、起業家、農家、フリーランス、主婦、学生、医療従事者etc…。

その人たちが職場や専門の枠から「越境」して関わり、様々なプロジェクトが生まれていますよね。

まさにこのコミュニティは「学際的」と言っても良いのではないかと思っています。

学位を取ることが目的じゃない。けれど…。

なので、「たてヨコ愛媛」に所属していれば、私が目指したい・獲得した知識や思考力、コミュニケーション能力は大学に行かずとも自然と身に着くのです。実際に、私はこの1,2年、Startup Weekendやたてヨコ愛媛に関わっている人たちとの出逢いのおかげで人生変わったわけですから(大袈裟なようですが、本当です)。

ましてや私の本職は医療なので、今後、学術修士(MFA)を取得できたところで給料や職場での地位への影響はほぼ皆無ですしね。

けれど、将来的に私のような医療従事者が自身らの領域にデザイン的要素を取り込もうと思うと、他者に「趣味の一環」と思われないためにはそれなりの箔をつけることも必要です。

 

となると、やはり大学・大学院への進学や研究は必須になってしまいます。

  

愛媛は都市部と比べると大学の選択は決して多くはありません。しかし、現在はTechnologyの進歩も相まって通信制大学・大学院という選択肢が増えてきました。そのなかで私が目指したいものにFitできたことはラッキーだったのかもしれません。

 

加えて、一見捻じれのような位置にある学問への進学を受け入れてくださった現在の職場には感謝でしかありません。

 

 

今後も、「愛媛にいるから叶わない。」とは言わせないActionを、自らの姿を見せることで今後も続けていけたらなと思っています。いつか大学院の学びや研究が「たてヨコ愛媛」にもフィードバック出来たらなぁ…なんて。

ABOUT ME
岡田 未奈
愛媛県松山市出身の平成生まれ。 「いのちをささえるエンジニア」である臨床工学技士として県内の医療施設に従事。人工透析を主業務として、呼吸治療、心血管カテーテル治療、不整脈治療、医療機器管理などを兼務。  一方で、『医療にDESIGNを。』をコンセプトとしたパラレルワーキングをしており、ライター、グラフィックレコーダー、プレゼンテーションデザイナーなどマルチクリエイターとして多彩な顔を持つ。 2021年4月より京都芸術大学大学院で社会を変えるための創造力となるデザイン思考の研究を始めるほか、2022年4月より青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラムに参加。 愛媛県下で学生や一般社会人を対象としたデザイナー的マインドを養うためのコミュニティや学術的な場を創ることが目標である。
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