デザイン

解釈や価値観に変化を生み出す「リフレーミング」

正面から見ると「A」と見える立体物が、横から見ると「I」に見える。
ある視点から捉える「正義」は、視点を変えると「悪」になる。
ある人にとっては大好物の納豆は、私にとってはどうしても好きになれない。

前回投稿したコラム「アナロジー思考で問題解決力とクリエイティブな説明力を鍛える」に続き、今回もWebサイトやコンテンツの企画設計を行うディレクターの目線から、ビジネスや私生活にも活用できる思考メソッド「リフレーミング」についてご紹介したいと思います!

リフレーミングとは?

リフレーミング(reframing)とは、ある枠組み(フレーム)で捉えられている物事を枠組みをはずして、違う枠組みで見ることを指す。元々は家族療法の用語。
引用元:WIkipedia
冒頭にも書いたように、物事を違う目線で捉えることを「リフレーミング」と言います。
この思考法は、私のようにWebサイトをリニューアルしたり、ビジネスモデルなどの仕組みやアイデアを考えるような人、経営者やマネージャーやリーダーといったまとめ役をする人にとても役に立つ思考法です。
もちろんビジネス以外にあらゆるシーンで活用できるので、実際に例を用いて理解を深めてみましょう。

物語にリフレーミングを使ってみる

ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
2013年度の新聞広告クリエーティブコンテストの最優秀賞作品のコピー「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました。」。https://www.pressnet.or.jp/adarc/adc/2013.html
これはまさにリフレーミングの活用例の一つといえます。

桃太郎は、宝を奪われていた村人から見ると「村を救ってくれた英雄」。
ですが、倒された鬼の子から見ると「親の敵」。
一方的な「めでたし、めでたし」では物事は成立しないことがわかります。
さらに桃太郎と一緒に戦った犬・猿・キジ。彼ら(?)の目線で考えると、もっと複雑な物語が生まれるかもしれません。

文字通り「目線」を変えて発想する

兵庫県三田市に「エス・コヤマ」というパティスリーがあります。
チーズケーキが人気でいつもすごい行列らしく、まだ一度も行けずじまいです。。
え、この店舗には「未来製作所」という小学校6年生以下の子どものみ入れるお店があるそうです。
立入禁止と聞いて、中が気にならない大人はいません。
入店した子供から「どうだった?」と中の秘密を聞き出すコミュニケーションも生まれる、素敵なきっかけにつながります。

大人にとっては「待ち時間」はスマホをいじっていれば良いかも知れません。
ですが、子供にとっては待ち時間はとんでもなく退屈で親御さんのストレスに繋がるあれやこれやが予想されます。
それに対して、子供に目線を変えてワクワク空間を提供することで、親のストレスを軽減するばかりか親子コミュニケーションにまで繋がる例かと思います。

他者の感情を理解する

例えば休日のお父さんが「たまには料理をしよう」と頑張って食材を仕入れ腕をふるって普段食べないような豪華メニューを作り「パパの料理美味しいね」と子どもたちから好評価を得たものの、奥さんは少し怪訝なご様子‥?なんて事、ありませんか?

お父さんは、ただ純粋にみんなに「美味しい料理」を楽しんでもらい、かつ奥さんの負担も減らせれたら‥という思いだったかもしれません。

ただ、奥さんの期待の中に「普段遣い」が大きな割合として含まれていたとするなら。
食費とのバランスや、後日作る料理への影響度(子どもたちが厄介な反応をする)を考えると、豪華な食事は決して喜ばしいものとは言い切れず、少し複雑な反応になってしまうのは致し方ないかもしれません。

ここでは「安い食材でできる簡単で美味い料理をつくり、かつ後片付けまでやりきる」が一つの正解だったのかもしれません。(個人差があります)

ステークホルダーをイメージし複数意見を想定する

最後に「企業のウェブサイトリニューアル」をお題にリフレーミングを使ってみましょう。
※手前味噌思考ですみません

A社は15年前にウェブサイトを構築し、その後、社内の担当者が一部コンテンツの更新作業を行っていました。
さすがに15年間ものあいだ担当者が頑張って更新し続けていただけあって、事業の多角化に伴いコンテンツ量は相当なもの。ただ、情報量が構造に追いついておらず、何がどこにあるのか探しにくい‥という声が多く上がっている状況に。さらにウェブサイトは15年前の構造なので、スマートフォンからのアクセスでもPC画面と同じものが表示されてしまい、使い勝手の悪さに拍車をかけています。
そんな鰻のタレのようなウェブサイトをリニューアルしよう!
とプロジェクトが開始されました。

と、あるようなないような状況で、リフレーミングを使って「多数の関係者視点からの意見を想定する」ことができます。
会社も人物も仮ですが、ここで登場する「多数の関係者」はこのような方々。
・更新担当者(リニューアルの主担当)
・上司/広報・広告宣伝部
・人事担当者
・営業担当者
・取引先
・入社を検討している人
・A社の社長
ウェブサイトリニューアルを発注する依頼先のベンダーまで入れる事もできますが、今回はこのくらいで。
最終的にはプロジェクトの目的を定め優先度を決めるのですが、ひとまずは各ステークホルダーでどのような思惑があるか書き出してみましょう。

・更新担当:更新手順を簡単にして、社内の管理工数を削減したい
・上司:更新作業を平準化・分担可能にして効率アップ
・人事担当者:企業の求める人材像にマッチする人材の獲得
・営業担当者:競合との差別化により新規顧客獲得に繋げる
・取引先:利用製品の使い方がわかる
・入社を検討している人:社内の様子、入社後のキャリアがわかる
・A社の社長:サイト全体の質向上によりトップ営業時の優位性向上

仮ですが、上記のような関係者(ステークホルダー)によって思惑が変わってくることがわかります。
当然ながら、現実にはヒアリングで現場の声を聞き出していくことや、全て完璧に満たすことはできないので優先順位やバランスを取っていくことが必要になるのは言うまでもありませんが、ある程度このように「その人にとっての利益はなんだろう?」と考えることで、提案やアイデアにつながる事があります。

まとめ

アナロジーに続くデザイン的思考法の第2段「リフレーミング」についてまとめてみましたが、いかがでしたか。
大人、子供、作り手、利用者といった目線を軸に考えることもあれば、「桃太郎」「鬼」と文脈を変えて捉え方を変えるという方法もあります。
前回テイトさんが書かれていた地球人のお話のように、より広く多面的に物事を捉えることで、昨日まで理解できなかったことが「あ、その目線で考えると納得できるかも‥。」と内省につながるかもしれませんし、アイデア発想にも使えるのでぜひお試しください。
それではまた!

ABOUT ME
町田祐一郎@eyemovic
町田祐一郎@eyemovic
(株)アイムービックのWebディレクター。企業や自治体のWebサイトの企画設計、リニューアル提案、業務システムの改善など、テクノロジーとビジネスとデザインをゆるやかに繋ぎます。松山テイクアウト部Webサイト制作担当。